2017.09.22 生保協会定例会見 健康増進をサポート、10月から「スポーティライフ大賞」募集

 生命保険協会の橋本雅博協会長は9月15日の日銀記者クラブ定例会見で、「健康増進サポートプロジェクト」の実施を発表した。健康長寿社会の実現に向け、健康で心豊かな社会づくりに貢献する。従来取り組んでいる自治体等と連携したウオーキングイベントへの協賛の他、新たに健康を意識した前向きな取り組みを実施する企業・団体を表彰する「スポーティライフ大賞」の創設と、会員各社の取り組みを収集し共有化していくと報告した。会見ではこの他、平準払い商品の値上げの影響について、第1四半期は減収増益となったが「第2四半期も同様に推移しているのではないか」との見解を示した。

 健康増進サポートプロジェクトは、①コンテスト形式の「スポーティライフ大賞」②自治体等との連携による啓発運動の展開③会員各社の取り組み事例の収集・共有化―の三つ。①では、スポーツを通じた健康づくり事例収集・普及活動を目的に、健康を意識した前向きな取り組みを推進している団体(地域コミュニティ部門)や企業(企業部門)を全国から募集し、優れた取り組みを表彰する。②は、自治体や地方メディア等が主催する全国4カ所(福島県福島市、兵庫県加古川市、岡山県倉敷市、沖縄県浦添市)のウオーキングイベントに協賛。出発式でのあいさつや、出展ブースで骨の健康度測定会などを実施する。③は、会員各社が行う自社従業員や地域への健康サポート事例、従業員向けの運動習慣づくりといった健康経営の取り組みを収集し、共有するというもの。これらの取り組みをまとめた報告書を作成・公表し、関係団体と収集事例等の連携を図る。
 橋本協会長は、同プロジェクトの意義について、「お客さまの人生を支えることが生命保険会社の社会的使命であり、“健康”はさらなる貢献を目指していくにふさわしいテーマ」と説明した。また、東京五輪の開催に向けた政府の国民のスポーツ習慣促進という大きな流れがあるとした上で、「スポーティライフ大賞は、スポーツ庁の後援も予定している」ことを明らかにした。
 報告に引き続き、記者から金融庁が公表した組織改編についての考えを問われると、「発足当時から、国内外の経済情勢や金融行政の課題も変化しており、それらに対応していくための改革と受け止めている」と回答。新体制になってもベストプラクティス追求に向けた当局との対話は継続していく方針で、「各社がお客さま本位の取り組みを構築していくことで、業界全体の発展につながっていけばいい」との考えを述べた。
 標準利率の改定による平準払い商品の値上げの影響については、保険料等収入が1割程度減少している中でも、資産運用の高度化に取り組んだことで基礎利益は全社合計で増益となったと強調した。業界を取り巻く経済環境は変わっておらず、減収増益で終えた第1四半期の流れがこのまま続くのではないかとの考えを示した。また、外貨建て商品の今後の見通しについても記者から質問が寄せられた。橋本協会長は、国内金利の状況を見ても一定程度の顧客ニーズはあるとした上で、今後も増加の傾向は続くとの認識を表明。一方で、予定利率を大きく下げた後、円建て商品は減少するものの、盛り返していく動きも過去に見られるとし「疑問なところはあるが、少しずつ盛り返していくのではないか」との見方も披露した。さらに日銀政策に対する評価に関しては、物価目標2%の達成が見通せない状況にあるため、緩和政策の継続はやむを得ないと回答した。
 議決権の開示について「信託などと比べると反対の比率が低いのでは」という質問では、他業態に比べて多少低いとした上で、「当社(住友生命)に関していえば、対話を通じて課題認識を伝え、改善を促すことを重視しながら賛否を決定している」と説明。対話の効果が全てではないとしながらも、「こうした対話によって一部企業では増配や復配、社外取締役の選任などが変更されたケースもある」「一定の効果があったのではないか」と述べた。