2017.09.20 第2回少短業者経過措置に関する有識者会議 影響鑑み5年間延長へ

 9月12日に金融庁で開かれた少額短期保険業者の経過措置に関する有識者会議(座長=上智大学法科大学院教授・森下哲朗氏)は、2018年3月末で終了する経過措置を5年間延長する報告書を取りまとめた。ただし、新規契約の上限金額については、現行の「本則の3倍(医療保険は2倍)」から「一律2倍」に縮小する。既に12年間の経過措置が取られている中で延長には反対の意見もあったが、経過措置適用業者に対して今回の経過措置終了後、円滑に本則へ移行するための事前対応を求める内容も盛り込んだ。少額短期保険制度が創設されて以来、17年間の経過措置が取られることになる。

 9月1日に引き続き2回目の開催となる同有識者会議は、「少額短期保険業者の経過措置に関する有識者会議報告書(案)」を基に審議した。報告書(案)は、約166万人もの被保険者等への影響を鑑みると、現時点で直ちに経過措置を収束させることは困難であり、上限金額を縮小しさらに5年間延長することはやむを得ないというもの。また、少額短期保険制度創設時に、激変緩和措置として設けられた経過措置の趣旨に照らし合わせれば、「引き受け上限金額は、可能な限り早期に本則へ収束させるべき」との考えも明記している。有識者会議メンバーは、全員一致で同報告書(案)に賛同した。
 経過措置適用事業者に対しては経過措置延長に当たっての留意点として、保険会社免許の取得や保険会社との連携なども含めて、今回の経過措置終了後に本則に円滑に移行するための事前対応を検討することを要望した。また、セーフティーネットの対象外であること、少額で短期の商品特性を適切に説明すること、経過措置適用期間に限り上限金額の引き受けが可能なことなどを顧客に理解してもらうための工夫をし、周知徹底するよう求めている。
 一方、当局に対しても本則への円滑な移行の観点から、経過措置適用事業者の当該契約者への対応が適切かどうかを的確にモニタリングするよう強く求めた。
 経過措置適用事業者15社における保険契約(被保険者ベース)は、13年3月末の約290万人から17年3月末には約166万人と減少している。しかし、年齢や健康状態を理由に保険会社の保険に加入し直すことが容易でない、少額短期保険のみを扱う代理店を通じて提供されている既契約があると考えられ、また、経過措置適用事業者からは、経営の安定性確保の観点から本則超過での新契約引き受けが重要との意見が出されていた。それらを踏まえ日本少額短期保険協会は、18年4月1日以降に締結される新規契約は本則の2倍、同3月末時点の既契約は同時点の契約金額以下での更新とした条件の下、5年間の期間延長を要望していた。一方、生命保険、損害保険業界からは、経過措置は既に長期にわたり、激変緩和としての役割を十分に果たしているため、本則に戻るべきとの意見が出されていた。