2017.09.08 損保ジャパン日本興亜・アクセンチュアなど 事故防止へ共同研究

 損保ジャパン日本興亜、アクセンチュアは、バス・タクシー事業を行っている第一交通産業(福岡県北九州市、田中亮一郎社長)と共同で、ドライブレコーダーの運行データや運転手の心拍数などの生体情報を活用して、事故を未然に防ぐ先進的な運行管理を実現するための研究を開始した。共同研究では、損保ジャパン日本興亜がグランドデザインを行い、公共交通機関や運輸業に向け、新たな分析手法による統合情報プラットフォームの構築を目指す。今後、研究への参画企業を増やすなど、社会への普及を図っていく。

 共同研究は、アクセンチュアが持つ、インテルとの協業関係を活用。同社からプラットフォーム構築に必要な技術提供を受ける。
 研究では、第一交通産業のグループ会社が保有するタクシーに設置するドライブレコーダーから運行データを収集すると同時に、ドライバーが時計型のウエアラブルデバイスを勤務時に着用することで得られる生体情報(心拍数)を取得。収集されたデータは、インテルの高性能CPUを搭載したサーバーおよびデータ収集ゲートウェイやエッジ・コンピューティング画像処理技術などを含むインテルのリファレンス・アーキテクチャーを採用したIoTプラットフォーム上で、タクシーの乗客の画像を除外する等の処理を経て、クラウドストレージにアップロードされる。
 その後、アクセンチュアが、アップロードされたドライブレコーダーの画像情報、運転挙動情報、生体情報や車両情報等の多岐にわたるデータの分析を行い、ドライバーごとの事故発生リスク等を評価する手法を開発していく。ディープラーニングなどの高度なデータ解析手法を用いることで、新たな分析手法が組み込まれた統合情報プラットフォームの構築を目指す。
 2017年3月から、第1弾の概念実証実験を開始。タクシー100台とタクシードライバー100人から取得したデータより、乗務中の心拍の変動やしぐさから、眠気などのヒヤリハットに関係する兆候を識別することに成功している。
 このプラットフォームを活用することで、業務中や将来にわたるドライバーの健康管理、事故を未然に防ぐ施策実行、ドライバーの運転傾向把握、個人の特性に合わせた交通安全指導など、ドライバーごとのリスク評価結果に基づく運行管理を図る。
 国土交通省が運輸事業者に対して安全管理体制をPDCAサイクルで継続的に改善することを求めた「運輸安全マネジメント制度」が導入されてから10年が経過し、自動車事故件数や死傷者数は着実に減少した。
 しかし、全国的に運転手の体調異変による事故件数は増加傾向にあり、運転手の不安全行動による事故も撲滅できていない。そのため、今なお社会的影響の大きい事故が発生している。
 こうした状況を踏まえて、損保ジャパン日本興亜、アクセンチュア、第一交通産業の3社が、それぞれの持つ情報や技術を活用し、事故を未然に防ぐ先進的な運行管理を具体化させるための共同研究が実現した。
 3社は、概念実証実験の結果を踏まえて、各社のファシリティーや技術、ノウハウを活用し、安心・安全・健康な社会の実現に向けたIoTソリューションの開発に取り組むとしている。