2017.09.06 SOMPOホールディングス キャノピアス売却へ

 SOMPOホールディングスは9月1日、損保ジャパン日本興亜を通じ、同社の100%子会社であるSompo Canopius AG社(キャノピアス社)の全株式を譲渡する株式譲渡契約をCenterbridge Partners,L.P.社(Centerbridge社)の関連会社が運営するファンドが出資する英国王室属領ジャージー島法人であるFortuna Holdings Limited社と締結した。SOMPOHDでは今後、欧米先進国事業の再編を加速し、昨年10月に買収を発表した欧米を中心とする元受・再保険事業グループであるEnduranceSpecialtyHoldingsLtd.グループ(現Sompoインターナショナル社)を真に統合されたグローバルコマーシャル事業のプラットフォームとして、引き続き海外保険事業の一層の拡大を目指していくとしている。

 SOMPOHDによれば、2014年5月の買収以降、キャノピアス社はグループの欧米事業をけん引し、着実に利益に貢献。一方で、SOMPOHDは海外保険事業の一層の拡大を目指し、3月のSompoインターナショナル社買収後は、具体的なPMI(Post Merger Integration)を進める中で、Sompoインターナショナル社をグローバルコマーシャル事業のプラットフォームに位置付けるとの方針を踏まえ、今後のキャノピアス社の体制について、さまざまな選択肢を検討してきた。その結果、Sompoインターナショナル社と同じロイズビジネスを有するキャノピアス社の独立した経営体制を維持することはグループとしての戦略的一貫性、効率性、ブランドの統一感を欠くことになるとともに、性急かつ無理な統合をすることはキャノピアス社の企業価値を毀損(きそん)することになると判断。キャノピアス社を売却することが、SOMPOHDの資本効率を高め株主価値を最大化するとともに、キャノピアス社にとっても、最適な選択肢であるとの結論に至ったとしている。
 保険会社グループではないCenterbridge社へ売却することで、キャノピアス社は今後も独立した経営が可能となり、SOMPOHDはキャノピアス社と各種ビジネスでのパートナーシップの関係を維持していく考え。
 株式譲渡契約の締結を受けて、SOMPOHD、損保ジャパン日本興亜、Centerbridge社は各認可当局等へ申請し、認可・承認を受けた後、速やかに株式譲渡を行う。本株式譲渡の完了は、18年1月以降を予定。譲渡株式数は10万株で、議決権の100%。譲渡価格は9億5240万米ドル(換算レート1米ドル=110.35円で、1051億円)となる(17年12月末のキャノピアス社の有形純資産額に応じて調整される予定)。
 本株式譲渡に伴い、現時点で、損保ジャパン日本興亜単体では7億円程度の利益(税引後)を計上する一方、連結ベースではこれまでのキャノピアス社の取得後利益等を考慮し140億円程度の損失(税引後、注)を計上する見込み。ただし、株主還元の原資となる修正連結利益の計算においては、当該損益が控除されるため、影響はないとしている。なお、17年度については、キャノピアス社の当期純利益は連結対象に含まれる見通しとなっている。
 SOMPOHDでは、以上を踏まえ、本株式譲渡による今期業績への影響は軽微と判断し、現時点では、17年度通期業績予想の修正は行わない。
 18年度の数値目標としては、修正連結利益2200億~2300億円(うち海外保険事業の修正利益600億円以上)、修正連結ROE8%以上を16年11月に公表した。キャノピアス社が連結対象外となることによる影響を考慮しても、Sompoインターナショナル社を中心に海外保険事業の業績は公表時に比べ上ぶれを見込んでいること、海外保険事業以外の業績も順調に推移していること、本株式譲渡で得られた資本をさらなる成長投資に活用可能であることを踏まえ、現時点で18年度のグループ全体の数値目標達成は可能との認識を示している。
 SOMPOHDでは、本株式譲渡により得られた資本余力を有効に活用し、今後も利益の拡大と資本効率の向上を目指していくとしている。
 (注)キャノピアス社のSOMPOHD連結上の会計簿価1211億円(17年6月末)を基に計算。