2017.08.31 東京海上日動 日本気象と共同開発、台風接近をメールで通知

 東京海上日動は8月中旬から、自動車メーカー向けに日本気象㈱と共同開発した気象情報配信システムをトライアル稼働させた。貨物保険の契約者である自動車メーカーが輸出前の完成車を一時保管する施設(保管ヤード)を登録しておくと、台風の発生や接近などを知らせる警戒メールが送信される。近年、台風をはじめとする自然災害によって完成車の損害が多額になるケースが増えていることから、事前に気象情報を提供することで避難などの対策を促し、損害の低減化を図る狙いがある。

 気象情報配信システムは、同社と気象データを提供する日本気象が共同で開発したもので、「台風発生情報メール」「台風暴風域警戒情報メール」「気象警報注意報メール」「強風予測メール」「ふ頭浸水警戒情報メール」などを配信する。台風発生情報メールには、発生エリア、中心緯度・経度、最大風速、進行方向と速度が分かる進路予想図「グラフィック台風進路予測」のリンク先が表示されており、日本気象のデーターセンターから常時配信される。同じリンク先には、日本気象独自のアルゴリズムでグレーディングしたふ頭浸水警戒情報や風速情報も掲載する。台風暴風域警戒情報メールは、保管ヤードが台風の暴風域に入る可能性を3日先まで3時間単位でパーセント予測する。気象警報注意報メールでは、暴風雨や大雨、高潮などの「特別警報」「警報」「注意報」の発表や解除に合わせてメールが配信される。また、強風予測メールでは、登録地点で設定した閾値を超える強風が予測された場合に配信される。今後は地震・津波情報、雨雲や落雷の観測情報などの配信も検討していくという。
 同社はこれまでも、自動車メーカー向けに保管ヤードでの事故防止・低減サービスに取り組んでおり、気象情報を自前で提供してきたが、今回、警戒メールを自動配信できないかと考え、システム構成と配信システムの基本設計づくりを日本気象と取り組んできた。配信する情報は、同社の持つ損害データや各種リスク調査結果の分析に基づき、完成車への損害の恐れのある気象情報のみに絞り込んだ。また、登録地点ごとのリスク状況に応じて配信の閾値を設定したり、最大48時間先の強風予測(風速・風向)を1時間間隔で予測できるようにするなど細かく作り込んだ。情報は、自動車メーカーにとどまらず、一般貨物の物流倉庫を対象にアレンジすることもできる。
 7月末に配信システムのフレームが完成し、8月中旬から登録アドレス宛てにトライアル配信を開始した。今後は、システムを利用する自動車メーカーに意見や要望などをヒアリングしながら継続的に改善するとともに、新たな機能の追加も検討していく。
 開発を担当したコマーシャル損害部国際物流第三グループの安藤純グループリーダーは「台風等の自然災害は、お客さまにとっても保険会社にとっても極めて大きな脅威だが、昨今の観測技術の発達によってある程度正確な予測が可能なリスクとなっている。詳細かつ適切な気象情報をタイムリーに現場のお客さまにお届けすることで、的確な防災対策が行われ、お客さまの大切な財産が少しでも多く救われることを願っている」としている。