2017.08.01 JA共済連 16年度決算、ソルべンシー・マージン比率改善、エリア戦略実行JAが増加

 JA共済連は7月26日、東京都港区のANAインターコンチネンタルホテル東京で通常総代会を開き、2016年度決算を承認した。低金利の継続による正味財産運用益の減少や熊本地震による支払共済金の増加などから、基礎利益は前年度に比べ1726億円減少して5439億円となったが、各準備金を積み増して、将来にわたる健全性の確保に努めた結果、ソルべンシー・マージン比率が約100ポイントアップした。役員人事では、新理事長に柳井二三夫氏(前専務)が選任された。

 新契約高では、生命総合共済の新契約件数が167万3000件(前年度比89.8%)、保障共済金額が6兆6414億円(同89.2%)となった。建物更生共済は96万7000件(同107.9%)で保障共済金額は10兆9941億円(同100.7%)を計上した。これら共済の保障共済金額合計は17兆6355億円(同96.0%)となった。自動車共済は824万2000件(同98.2%)、連合会が収納した共済掛金は2810億円(同99.3%)だった。
 生命総合共済・建物更生共済合計の保有契約高は267兆2184億円(同97.6%)で、解約・失効率は生命共済が2.99%(同3.11%)、建物更生共済が3.66%(同3.93%)となった。
 共済金は事故共済金が1兆204億円(同111.9%)、満期共済金は2兆4337億円(同96.9%)で、総額は3兆4542億円(同100.9%)の支払いを記録した。
 総資産は57兆7651億円(同103.5%)、運用資産は55兆6301億円(同103.7%)、責任準備金は51兆2426億円(同103.6%)を計上した。
 直接事業収益は5兆9611億円(同100.2%)、財産運用収益は1兆642億円(同91.7%)となり、直接事業費用は4兆7410億円(同98.9%)で、その結果、経常利益は1898億円(同68.6%)、当期剰余金が860億円(同66.0%)となった。
 ソルべンシー・マージン比率は諸準備金積立などにより支払い余力の総額が増加し、海外再保険によりリスク合計額が減少したことから前年度比100.8ポイントアップし898.5%となった。実質純資産額は責任準備金対応債券などの評価差額が減少したことから、前年度より1兆4883億円減少し、17兆1649億円となった。基礎利益は熊本地震に伴い危険差収支が減少したことなどから前年度より1726億円減少して5439億円となった。
 主要施策の実施状況では地域密着の事業推進のため「エリア戦略実行計画表」を策定して進捗(しんちょく)管理を行い、同戦略のために特別措置を実施した結果、事業量目標、推進体制、重点仕組み・方策の3項目全てを導入したJAは534組合に上り、導入対象JAの81.5%を占めた。
 「Lablet’s(ラブレッツ)」(タブレット型端末)の活用などによる3Q訪問活動実施世帯は約548万世帯、ニューパートナー獲得実績は50万3800人を記録。各種のマイナス金利対応策を実施し、保障性仕組みの推進強化を図るためキャンペーンを展開した結果、推進総合実績(注)は71億829万ポイント、新契約実績は34億3653万ポイントとなり共に全国目標を達成した。大規模災害時に鑑定人を優先的に確保するための災害協定を締結し、16年4月発生の熊本地震は9月末に、同年10月発生の鳥取県中部地震は17年1月末に共済金支払いがおおむね完了した。
 地域活性化・農業経営への貢献では、これまでの活動に「くらし・営農」分野を加え「地域・農業活性化積立金」を活用した独自施策を県域ごとに実施した。
 農業リスクの分野では農業リスク診断活動を展開し、「農業応援隊」による事業リスク軽減などの保障を拡充した。また、農作業中傷害共済の提供を進め、地域農業振興、農山漁村の活性化に向けても継続的な取り組みを行った。
 さらに、連合会改革ではラブレッツ活用によるペーパーレス・キャッシュレス手続きなど4項目の内容で改革に取り組んでいる。
 役員人事では、総代会およびその後の経営管理委員会、理事会で、柳井二三夫代表理事理事長(前代表理事専務)、三間真一代表理事専務(前常務)、村山美彦代表理事専務(前常務)、秋元雅博代表理事専務(前常務)の4氏が選任された。
 (注)保障内容の異なる全ての共済契約実績を共通の基準で評価する推進ポイント方式(保障金額等×所定の換算率)により算出される。