2017.07.26 損保協会 定例会見、個人型の資格喪失年齢引上げ等7項目、確定拠出年金で要望提出

 損保協会は7月21日に開催した業界紙向けの定例記者会見で、6月29日付で厚生労働省に提出した確定拠出年金制度に関する制度改善要望について報告。重点要望項目として「個人型確定拠出型年金における資格喪失年齢の引き上げ」、その他要望項目として「特別法人税の撤廃」「柔軟な拠出限度額の設定および拠出限度額の引き上げ」「通算加入者等期間による受給開始年齢変動の見直し」「マッチング拠出における事業主掛け金上限の撤廃」「年金規約変更時の事務の簡素化」「業務報告書の簡素化」を要望したことを明らかにした。

 重点要望項目の「個人型確定拠出型年金における資格喪失年齢の引き上げ」は、自助努力による老後の所得確保促進と企業型との不公平感を排除する観点から、個人型においても資格喪失年齢を65歳まで引き上げ可能とすること、また、資格喪失年齢を引き上げた場合でも、60~70歳までの任意の時期に受給できるままとすることを要望した。
 その他要望項目の「特別法人税の撤廃」は、制度の健全な発展・普及により老後の所得確保を促進する観点から、事業主掛け金、個人型加入者掛け金とその運用益を対象とした特別法人税の撤廃を求めた。「柔軟な拠出限度額の設定および拠出限度額の引き上げ」は、制度のさらなる利便性向上のため、退職金水準が比較的高い企業においても、確定拠出年金のみで退職金制度の設計が可能となるよう給与等に比例する等、柔軟な拠出限度額の設定を可能とすること、また、公的年金を補完する役割として、勤労者の老後の所得確保に係る自助努力を促進するため、拠出限度額のさらなる引き上げを要望した。
 「通算加入者等期間による受給開始年齢変動の見直し」と「マッチング拠出における事業主掛け金上限の撤廃」は、公的年金制度の補完と自助努力による老後の所得確保を促進する観点から、それぞれ通算加入者等期間による受給開始年齢変動を見直すこと、マッチング拠出における企業型加入者掛け金について、事業主掛け金を限度額とする規定を撤廃することを要望した。
 「年金規約変更時の事務の簡素化」は、事業主の負担軽減のため、事業主に起因しない変更理由の場合における年金規約変更について、運営管理機関の届出による変更(不可の場合は地方厚生(支)局長の職権による変更)を可能とすること、「業務報告書の簡素化」は、事業主の事務負担を軽減する観点から、事業主の押印を不要とすることを要望した。
 会見では、6月15、16日の2日間、ミャンマー協会設立に関するワークショップを実施したことも報告した。ミャンマーでは、旧来国営の保険公社が実質的に監督権限を有していたが、自由化に伴って保険協会の設立が決定したことから、在ミャンマー日本大使館からの要請により実施したもの。同協会国際企画部長が講師となり、「保険協会―その機能と構造―」をテーマに、保険協会の役割や今後の保険市場開拓に向けたインフラ整備に当たっての役割などについて議論を行った。
 この他、2017年度アクチュアリー塾の実施、自賠責運用益使途選定委員会委員の変更、IUMI(国際海上保険連合)東京総会の開催、規制改革ホットライン「集中受付(16年11月1日~30日)」提出事案の経過動向、17年度税制改正要望について説明した。
 アクチュアリー塾は、6月19日、22日、23日の3日間、本年度も7科目(基礎科目:損保数理、生保数理、数学、年金数理、会計・経済・投資理論、専門科目:損保1、損保2)の講義を行い、延べ68人が参加した。 
 自賠責運用益使途選定委員会委員については、獨協大学経済学部教授の岡村国和氏が任期満了に伴って7月末で退任し、8月から明治大学商学部教授の中林真理子氏が就任する。