2017.06.02 損保料率機構 自動車保険の参考純率を改定、平均で8%引き下げ
損害保険料率算出機構(損保料率機構)はこのほど、自動車保険の参考純率を平均で8.0%引き下げるとともに、料率区分ごとの較差の見直しを行い、「家族限定」契約や、新規等級の年齢条件区分を廃止することになった。5月11日付で自動車保険参考純率の変更に関する届け出を金融庁長官に行い、同月30日に適合性審査結果通知を受領した。
参考純率の引き下げは、衝突被害軽減ブレーキなど運転者の安全運転を支援するシステムを搭載した自動車(ASV)の普及が進んでいることなどから、対物賠償責任保険と車両保険で、契約1台当たりの保険金が減少しているという近年の状況を受けたもの。
改定率の例としては、自家用普通乗用車・自家用小型乗用車(型式別クラス4、AEB装着なし、新車以外)の場合、ノンフリート20等級、対人・対物無制限、搭傷1000万円等、運転者限定なし全年齢補償の条件で、対人・対物・搭傷のセット契約で9.2%の引き下げ、これに車両保険(150万円・免責金額なし・オールリスク)を追加した場合で11.4%の引き下げとなる。また、自家用軽四輪乗用車(AEB装着なし)の場合は、上記と同じ条件で、対人・対物・搭傷のセット契約で6.2%の引き上げ、これに車両保険(75万円・免責金額なし・オールリスク)を追加した場合で0.2%の引き下げとなる。
一方、料率区分ごとの較差の見直しについては、算出基礎データの更新や料率区分としての合理性を高める狙いがある。この中で、運転者の範囲に応じた区分(運転者限定)に関しては、運転者の範囲を「家族に限定する」契約方式を廃止する。
改定前の参考純率では、運転者の範囲を「限定しない」「家族に限定する」「本人・配偶者に限定する」の三つの契約方式に応じた料率区分を設定していた。このうち、「限定しない」契約と「家族に限定する」契約との間のリスク較差は、徐々に縮小してきた経緯があり、直近(2015年度)の実績では、リスク較差が見られなくなったことから、この契約方式を廃止することとした。
見直しの背景には、世帯構成の変化やライフスタイルの変化等により、運転者の範囲を「家族に限定」していた契約が「本人・配偶者に限定する」契約に移行するとともに、「限定しない」契約と「家族に限定する」契約の間の運転者の範囲の違いである「友人など」の家族以外の者に自動車を貸すといった機会が減少していることがあると考えられる。
また、新規契約に適用するノンフリート等級(新規等級)における年齢条件区分も廃止する。
ノンフリート等級は、過去の無事故年数や事故件数など(過去の事故歴)に応じて決定するが、新たに自動車保険を契約する契約者(新規契約者)は過去の事故歴がないため、一律6等級新規に位置付けられている。その上で、この新規等級については、若年の新規契約者のリスクが特に高かったことから、これまでは年齢条件(全年齢補償、21歳以上補償、26歳以上補償)によりさらに較差を設けてきた。
しかし、近年は新規等級以外の継続契約の等級でも、年齢条件区分間でリスク較差が見られるようになってきている。そのため、新規等級についてのみ年齢条件で細分していることは、継続契約との公平性の観点から適切とはいえなくなっているため、等級区分の新規等級に設けている年齢条件区分を廃止することにした。