2017.05.30 日本生命 2016年度決算、新契約の保障額等・年換算保険料増加

 日本生命が5月25日に発表した2016年度決算によると、単体・連結業績共に減収・減益だった。保険料等収入は三井生命、16年10月3日に買収手続きを完了したオーストラリアのMLC Limited(MLC)の業績が連結反映されたものの、予定利率の引き下げ等による一時払円建終身保険の販売減少や、銀行窓販商品の販売停止、日本生命単体で前年に大型団体契約を獲得した反動等を主因に減収した。基礎利益は三井生命、MLCの業績が連結反映されたものの、日本生命単体で低金利の影響等により、利息および配当金等収入が減少したことなどから減益となった。国内の個人保険・個人年金保険については、新契約業績が保障額等・年換算保険料は増加、件数は減少した。保有契約業績は件数・年換算保険料は増加、保障額等は微減した。

 保険料等収入は日本生命が前年度比23.6%減の4兆6473億円となった。三井生命は5076億円、MLCは498億円で連結保険料等収入は同16.4%減の5兆2360億円となった。基礎利益は日本生命が同9%減の6349億円だった。三井生命は433億円、MLCは31億円で、その他海外生保子会社・関連会社の持ち分を加えた合計は同3.1%減の6855億円となった。
 グループ事業純利益は三井生命との経営統合やMLCの買収効果等によって同176%増の432億円となった。グループ事業純利益に関しては、前3カ年経営計画で3年間で300億円の目標を掲げていたが、今回の決算で1年前倒しで達成した。
日本生命と三井生命の業績を合算した国内保険成績については、個人保険・個人年金保険の新契約業績が件数で同2.4%減の457万件と前年度実績を下回ったが、16年4月に販売を開始したニッセイ長寿生存保険(低解約払戻金型)「Gran Age(グランエイジ)」や、商品改定を行った逓増定期保険の販売が好調だったことなどから、保障額等は同6.5%増の11兆8978億円、年換算保険料は同13.8%増の3785億円と前年度実績を上回った。
個人保険・個人年金保険の保有契約業績は国内計で件数が前年度末比7.2%増の3134万件、保障額等が同0.8%減の187兆4058億円、年換算保険料が同3.3%増の4兆598億円となった。解約・失効等の改善効果によって件数、年換算保険料は前年度末比プラスで推移、保障額等は微減した。日本生命は件数が同8%増の2879万件、保障額等が同0.3%減の166兆4676億円、年換算保険料が同3.9%増の3兆5627億円だった。三井生命は件数が同1.9%減の255万件、保障額等が同4.4%減の20兆9381億円、年換算保険料が同0.8%減の4970億円だった。
団体保険の保有契約業績(保障額等)は、企業ごとのきめ細やかなコンサルティング活動に継続して取り組んだ結果、日本生命、三井生命の両社共に保有契約を伸ばし、国内全体で同1%増の108兆2395億円となった。団体年金保険の保有契約業績では、日本生命、三井生命、ニッセイアセットマネジメントの受託資産額合計は同2.7%増の15兆6401億円となった。
 連結の資産運用収益は前年度比18.2%増の1兆8052億円となった。保険金等支払金は同5.1%増の4兆1516億円、事業費は同13.3%増の7082億円だった。この結果、連結経常利益は同5.9%減の5283億円、当期純剰余は同25.2%減の3019億円となった。
 総資産は連結ベースで前年度末比2.6%増の72兆4642億円、責任準備金は同2.5%増の58兆9308億円だった。連結ソルベンシー・マージン比率は三井生命で劣後債を発行したことなどによって933.9%となり、同11.2ポイント上昇した。実質純資産額は連結ベースで同3.1%減の17兆1079億円となった。
 日本生命単体で、時価のある有価証券は海外金利が上昇したことなどから、同9933億円減少し、10兆734億円となった。自己資本については、基金・諸準備金等で危険準備金、価格変動準備金を積み増したことにより、同2896億円増加し、4兆4542億円となった。また、基金・諸準備金等に劣後特約付債務を加えた自己資本は同4796億円増の5兆2951億円で、前3カ年経営計画で掲げた14年度対比でプラス1兆円の積み増しとなり、自己資本5.2兆円の目標を1年前倒しで達成した。
 契約継続率は、新規6月目継続率が同0.1ポイント上昇し97%、合計13総合継続率は同0.3ポイント低下し94.7%となった。
 配当は個人保険、個人年金保険については、14年度、15年度に2年連続で増配し、16年度は配当率を据え置く予定としている。
 17年度決算の見通しについては、保険料等収入で日本生命が予定利率引き下げの影響や団体年金保険の受託減等の影響によって16年度対比減少を見込む一方、三井生命で外貨建一時払商品の販売増加が見込まれること、MLCの連結反映が通年分となることなどから、連結保険料等収入は横ばいとなる見通しとしている。基礎利益はMLCで増加が見込まれるものの、日本生命、三井生命で低金利などの厳しい運用環境によって減少を見込むことから、連結の基礎利益は減少となる見通しとしている。