2017.04.19 日本生命、スチュワードシップ活動を充実、新たに諮問委員会設置

 日本生命は3月30日、日本版スチュワードシップコードについて、活動の透明性向上と取り組み強化に向けて、社外委員を過半とする「スチュワードシップ諮問委員会」を新設することを決定したと発表した。併せて、今後のスチュワードシップ活動について、対話選管人材の追加配置、「重点対話企業」との対話強化、対話内容の一層の充実といった活動方針を発表した。
 スチュワードシップ諮問委員会では、議決権行使のうち重要議案に対する賛否案や議決権行使精査要領の改正方針案などについて、事前の審議・答申を経ることにより、議決権行使プロセスのガバナンス強化を図ることを目的としている。また、同委員会は、ガバナンスの強化にとどまらず、当該分野に精通する社外委員から同社のスチュワードシップ活動全体にわたる幅広い助言を得ることを特徴としており、同活動の一層の充実に資する委員会を目指すとしている。諮問事項は、議決権行使のうち重要議案の賛否案、議決権行使精査要領の改正方針案、スチュワードシップ活動方針案、スチュワードシップ活動結果(報告)など。開催は年数回を予定。
 今後のスチュワードシップ活動方針については、日本株投資の担当部署に配置している企業との建設的な対話を専門に担当する人材について、現行の2人から1人を追加配置し、合計3人の体制とする。日本株投資担当部署のアナリストやポートフォリオマネジャーが企業との対話に取り組むとともに、当該専管人材がアナリストと連携しつつ、年間を通じて投資先企業との対話に取り組んでいく。
 同社では、企業との対話活動について、個社の状況や同社投資規模などを考慮しつつ、重要性の観点から対象企業を選定している。中でも、低ROEや低配当性向、コーポレートガバナンスに改善余地がある企業など、課題を持つと考えられる企業を「重点対話企業」として選定し、対話取り組みを強化している。こうした取り組みを一層充実させるため、本年度は「重点対話企業」を従来の200社から300社程度に拡大して対話活動に取り組み、建設的な意見交換を重ねていく。同取り組み以外にも、投資先企業との対話を通じ、同社の考え方や課題意識を伝えることにより、認識の共有化と問題の改善に努めることで、投資先企業の中長期的な企業価値向上に貢献することを目指すと同時に、同社株式ポートフォリオの質向上にもつなげていく。
 対話内容については、PDCAの観点から継続的に振り返りつつ、対話の実効性を高めていくことが重要という観点から、①課題を事前に察知する観点から、業績悪化の兆候が見られる企業に対するモニタリングの強化②課題が顕在化していない企業との対話に際し、ESGを主なテーマとする対話活動を推進③経営トップやCFO、社外取締役などとのより深い対話をこれまで以上に推進し、対話成果の拡充を図る④昨年度導入した新システムの本格稼働を通じた対話管理の高度化―といった取り組みを加え、一層充実させる。