2017.04.10 損保ジャパン日本興亜、運送保険の取組みが好評
損保ジャパン日本興亜の海上保険金サービス室が昨年度から本格展開している運送保険の取り組みが好評だ。既存契約者に対して、グループ会社のSOMPOリスケア社と共同でロスプリベンションサービスを提供しており、増収効果を生んでいる。顧客満足度を高めて、同分野での実績拡大を下支えする狙いがある。
海上保険金サービス室が昨年7月から取り組んでいるのは「貨物事故傾向分析サービス」。過去の保険金支払い情報を基に、損害種類、貨物品目、損害規模、発生場所などに分けて事故発生の傾向を分析し、顧客に対策を提案することで、事故防止を促していく。サービスを実施するのは、同室内の全国九つの拠点(物流保険金サービス1課・2課、運送保険金サービス課、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡)で立ち上げた専門組織「貨物ロスプリサポートチーム」(「かもサポ」)の約60人のメンバーで、各所管の契約者に対して、事故削減サポートや事故管理システム体制構築支援などを提供する。各チームには、国際航空貨物取扱士やフォークリフト免許などの資格保持者、運送業者出身者、国内外での貨物ロスプリ経験者など専門的なスキルを持つ社員が多数所属している他、SOMPOリスケア社の担当者が専門的な分析を行う。
各チームの取り組みに当たっては、契約者・案件ごとの進捗(しんちょく)段階を可視化する仕組みを導入。①ロスプリの目標設定②損害傾向の社内共有③損害傾向の顧客への共有④損害原因のディスカッション⑤防止対策の実施で合意⑥防止対策で成果⑦成功した防止対策を他事例に転用⑧収益拡大に貢献―といったプロセスを踏むごとに点数化し、一覧管理することで、取り組みの徹底を図っている。2017年1月時点で、全国の約70の契約者に対して累計270段階の取り組みを実施した。
この他、年間数千件程度の事故報告を受けるフォークリフトの事故例と防止策を社員が紹介するDVDを作成し、顧客に配布している。
これらの取り組みの結果、サービスを提供した契約者からの新規契約が増えて、1月までに1億円の増収に貢献している。取り組みの旗振り役を務める同社本店企業保険金サービス部企画グループの大西崇士リーダーによると、当初は、社内のチームメンバーや契約者に対して取り組みの意図を理解してもらうのに時間がかかったものの、契約者がサービスを喜び、新規契約につながるといった成功体験が増えるに従って徐々に軌道に乗ったという。
今後については「お客さまに対してコンサルティング的なサービスでよりお役に立てるよう取り組みをさらに広く深くしていき、物流損害の未然防止を軸にしたお客さまと当社のウィンウィンの関係を強化してきたい」として、活動のさらなる進展に期待を寄せている。