2017.03.29 日本生命 新中期経営計画、純利益700億円(20年度末)目標

 日本生命はこのほど、現3カ年経営計画「全・進」(2015~17年)を発展させ、新たな中期経営計画「全・進―next stage―」(17~20年)を策定した。新中期経営計画では、「人生100年時代をリードする日本生命グループに成る」をスローガンに掲げ、20年度末の顧客数1400万人、保有年換算保険料プラス8%、グループ事業純利益700億円、自己資本6.5兆円を目指す。
 新中期経営計画では、成長戦略として「超低金利下での収益性向上」「日本生命グループの社会的役割の拡大」「グループ事業の着実な収益拡大」の3点を実現するとともに、これらの取り組みを支える「ERM」「先端IT活用」「人材育成」の3領域を重要な経営基盤と位置付け、生保業界をリードする取り組みを展開していく。
 国内事業では、超低金利下でも顧客の要望に応えていく商品・サービス開発や、国民的課題にも対応した生命保険だけではカバーできない保険の域を超えた「保険プラスアルファ」の価値をグループトータルで提供していく。顧客のライフスタイルに合わせたチャネル展開や、法人サポートの強化により、超低金利下でも着実に販売量を積み上げていくとともに、地域特性・社会環境に対応した「お客さまコンタクト」の拡充を進める。
 グループ事業・資産運用では、現3カ年経営計画の成果を土台にグローバルな収益分散を一層進めるべく、「既存事業の成長」「新規買収」による収益拡大のスピードアップを図る他、グローバルな分散投資を通じた長期安定的な利回りの確保、リスク対応力の強化を進めていく。
 ERMについては、グループベースのリスク選好の枠組み導入や経済価値ベースでの収益性・効率性・健全性管理の強化で、世界トップクラスに伍する健全性水準の確保を中長期目標とし、販売・資産運用・事業投資の各領域でのリスク・リターン効率向上に資する取り組みを強化していく。
 先端IT活用については、画像認識技術の活用による事務処理効率化やオープンイノベーション取り組みのさらなる加速による社外の知見・ソリューションの有効活用といった既存の取り組みを推進するとともに、デジタルデータ解析を活用した新たな保険販売モデルの開発や新契約・支払査定領域における人工知能の活用、ビッグデータ解析を活用した投融資判断の高度化といったさらなる活用を検討する。
 人材育成については、ワークとライフの好循環を主体的に生み出すワークライフマネジメントの実践によるワークスタイル変革を実施する他、計画的な能力開発により、将来の事業展開をリードするプロフェッショナル人材の育成や、職種横断での初期育成強化により、全層の基礎能力の底上げを行う。また、生命保険業を営む者として、一人一人の高い健康増進意識を醸成していく。
 同社が現3カ年経営計画で掲げている数量目標については、おおむね前倒しでの達成が見通せる状況となっている。さらなる飛躍のための基盤として、三井生命や豪MLC Limitedとの経営統合を実現し、グループの体制も強固なものとなった。一方で、マイナス金利政策下での低金利は、顧客への商品提供や資産運用など、さまざまな面で同社の経営に大きな影響を及ぼすものであり、グループ全体の持続的な成長に向け、事業戦略を見直し、新たなスタートを切る必要があると考え、新中期経営計画を策定したとしている。