2017.02.23 生保協会定例会見、中高保険教育で教員向けサイト開設
2月17日に開催された生命保険協会の日銀記者クラブ定例会見で根岸秋男会長は、中高の保険教育に携わる教員向け教材の提供とポータルサイト開設を報告した。会見ではこの他、電子マネーや金券類、ポイントサービスが特別利益の提供に該当するとの認識や、標準利率の引き下げが短期的に基礎利益減少の要因になるとの見解を示した。また、マイナス金利政策については、日銀の金融緩和政策の枠組みの変更を評価した。
会見ではまず、本年度の重点取り組み「生命保険事業に対する理解の普及促進 保険教育の継続推進」について、同日開催された理事会において、中学校・高等学校で保険教育を行う教員のサポート強化を決議したと報告。具体的には、社会保障・保険教育における教材活用マニュアル(教師用手引き)の提供と教員向けポータルサイトを開設し、生徒への保険教育の充実を図る。多くの教育現場で活用してもらえるよう、周知活動を実施していく方針を示した。
協会からの報告に続き、根岸会長は記者からの質問に回答。平準払いの標準利率が4月に現在の1%から0.25%に下がることで生保業界が受ける影響を問われ、「短期的に基礎利益が減少する要因となる」との見解を示した。基礎利益への影響を抑えるために予定利率を引き下げる施策を示しながら「業績面への影響も懸念される」と述べた。また、貯蓄性商品が大きな影響を受けるため、それに見合った営業戦略・商品戦略を考える必要があるとし、「当社の場合、相対的に金利の影響を受けにくい保障性商品の比重を高めていく」と明かした。
保険販売時の金券類など換金性の高いプレゼントを金融庁が問題視しているようだがという質問には、「電子マネーや金券類、ポイントサービスが特別利益の提供に該当する事例やその考え方について確認できた」とし、特別利益に該当するという認識を示した。協会としては、対応を検討し会員各社が適切に対応できるように後押しする方針で、「内容や事例、趣旨や考え方など、会員各社で共有している」と強調した。
マイナス金利政策が導入されて1年が経過し、2016年9月に実施された総括的検証で、金融緩和政策の枠組みが変更されたことを評価した。一方で、イールドカーブ・コントロールにも言及。操作対象年限が10年金利となっている論理的な根拠についての議論の必要性を強調するとともに、中期ゾーン(私見として5年程度)にし、超長期についてはある程度の変動をマーケットに委ねることが金融政策を遂行する上でのコストベネフィットに見合うとの見解を示した。その上で、日銀のより良い金融政策に期待を示した。
また、経済価値ベースの資本管理については「本年度実施された経済価値ベースのフィールドテストの結果なども踏まえて経済価値ベースの規制の在り方が議論されていくのだろう」とし、日本の監督規制の中にどのような形で導入されるのか今後さらに検討されていくとの認識を示した。その上で、「金利変動の影響が大きく、経済価値ベースの資本が影響を受けて大きく変動する特性がある」とし、そうした特性も踏まえた導入への検討を期待していると述べた。
この他、働き方改革については「経営者の視点からも、長時間労働の是正に向けて従業員が適切な勤務環境で働ける仕組みを作ることが重要」との考えを示すとともに、スチュワードシップ・コードの改定については「慎重に検討していきたい」と回答した。