2017.02.22 KDDI、ライフデザイン事業拡大、還付金付き生保も好調
KDDIでは、昨年4月にスタートした「ライフデザイン事業」の戦略が着実に実を結んできた。同事業は、auケータイの事業に加えて、電気・日用品・食品などの日常的なサービスと生保・損保、住宅ローンなどの金融サービスを融合させる取り組み。生命保険では、12月に、通信と保険の両方を契約することにより提供していた「金融サービスセット割」について、それまで通信料の割引として対応していたが、還付金付き「auの生命ほけん」(最大60カ月、毎月200円の保険料を還付、注1)に変更したことで、生命保険申し込みをすると自動的に保険料の還付金を受け取ることが可能となることから、消費者にとってより分かりやすく便利になった。同時に発売した「au生活ほけん」(ライフネット生命の就業不能保険と同様の保障内容)の加入も好調だ。
KDDIは、2011年5月にあいおいニッセイ同和損保との共同出資によるau損保の営業を開始。15年5月には、ライフネット生命保険の主要株主となり、「提携を通じてプリペイド式カード『au WALLET』や『au ID』を起点とした金融ビジネスのさらなる推進を図るとともに、金融事業領域での事業拡大とauの商品・サービスと融合した従来にない新たな金融サービスを開拓する」と取り組んだ。
それに基づいて、16年4月に「auのほけん・ローン」として生損保の取り扱いをスタートさせ、それまでも好調だった自転車向け保険の契約は飛躍的に伸展。その後も順調な販売が続いている。損保で2番目の売れ筋の「au海外旅行ほけん」は、海外に渡航するauユーザーに人気の高い「世界データ定額」との連携キャンペーンも後押しし契約が伸びている。
一方、生保で最も多く販売しているのは「au定期ほけん」で、スマホから申し込めるという利便性に加え、保険料自体の安さと還付金200円(最大60カ月)も享受できることから安定的な加入がある。「au定期ほけん」と「au医療ほけん」、「au医療ほけん」と「au生活ほけん」といった複数同時契約も拡大している(2商品契約の場合、還付金は400円、注2)。
バリュー事業本部金融・コマース推進本部の臼井朋貴金融ビジネス統括部長は「生保については、ライフネット生命の直販を上回る販売を記録する日もある。自転車向け保険については、au損保の自治体との連携(協定)が現在4カ所(大阪、東京、埼玉、新潟)と拡大しており、さらに全国に広げていく。生損保ともに取扱商品を増やす予定で検討を進めている」と話す。
保険の申し込みはネットからだが、専任担当者が対応するコールセンターを利用する顧客も多く、全国8カ所のauショップ直営店でも商品を案内している。同本部の勝木朋彦金融・コマース推進本部長は「コールセンター担当者や直営店社員の保険関連研修も強化している。単に乗合保険代理店事業を推進していくのではなく、当社はauのお客さまを大事にして接点を増やすという独自の取り組みを推進する。リーズナブルで家計が助かるというお得感のあるものを提供していく」としている。今後も「お客さま目線」で保険商品のラインアップ拡充も図り、「au経済圏」の拡大を目指す方針だ。
(注1)還付金の200円について同社では、「還付金付き保険商品として金融庁から認可を取得した」としている。
(注2)還付金の対象となる保険商品は、生保の定期、医療、女性向け医療、就業不能。