2017.01.25 エーオンジャパン、太陽光発電所向けに新スキーム

 エーオンジャパンはこのほど、太陽電池モジュールの第三者認証機関であるテュフ ラインランド ジャパン㈱、太陽電池モジュール検査サービスなどを行う㈱エヌ・ピー・シーと共同で、既存の太陽光発電所の評価結果に基づいて、太陽電池モジュールメーカーの出力保証を一部バックアップする保険スキームを開発し、2月からサービスの提供を開始すると発表した。エーオンジャパンによれば、業界初のスキームとなる。保険については、大手日系損保会社が引き受ける。
 同スキームでは、①既存の発電所に使用されている太陽電池モジュールの現時点における性能・安全性評価と発電所全体の簡易評価サービス②評価サービス結果に基づき、モジュールメーカーから保証が得られない場合の、保険によるカバー―の2段構えで太陽光発電事業の安定経営を支える。
 ①の現状評価は、試験所における試験と太陽光発電所における現地検査から構成される。前者はテュフ ラインランド ジャパンが担当し、世界最高レベルの測定技術により、太陽電池モジュールの高精度出力測定を行う。後者はエヌ・ピー・シーが担当し、試験所で高精度に測定された出力データを基準に用いて、発電所でストリング単位の出力測定を行う。発電所での評価は、全ストリングを対象とした出力測定を行うとともに、太陽光発電所全体の簡易評価を行う。これらの現状評価結果から太陽電池モジュールのランク付けを行い、保険条件に反映させる。また、オプションで太陽電池モジュールの長期信頼性・安全性試験や、太陽電池モジュールの主要構成部材の分析評価を行うことにより、経年劣化や安全性の将来予測が可能。これらを実施した上で、高ランクの試験結果が得られた場合には、保険条件がより有利となる。また、現状評価後には、太陽電池モジュールの定期診断を試験所で行い、出力性能の変化を高精度に把握する。それにより、想定以上の経年劣化が認められた場合、速やかな対応を行うことにより、太陽電池モジュールの欠陥リスクを最小限に抑えることが可能となる。
 太陽電池モジュールにおいては、国際規格に準拠した認証試験に合格することにより、製品の品質が担保されるものとして認知されている。しかし、規格による認証試験は、製品寿命に関する長期信頼性評価においては必ずしも十分ではないと考えられている。また、昨今の太陽光発電所においては、太陽電池モジュール以外の周辺機器である受変電設備やパワーコンディショナーなどの不具合、不十分な造成による地盤の変形、架台の強度不足などによる損害が顕在化している。今後は、発電事業者が加入している火災保険の引き受け条件も厳しくなることが想定されるため、発電事業者は、地所の発電所における安全・信頼性を客観的に評価し、その情報を基に保険会社との交渉を行うニーズも高まると考えられる。
 一方では、インフラファンドも創設され、太陽光発電所資産の流動化が始まっており、既存の太陽光発電所の売買価格は、将来の売電収入に基づくと考えられる。しかし、収入の根幹である太陽電池モジュールは、経年劣化に伴い出力低下が発生するため、現在までの発電量から将来の発電量を予測することは非常に難しいとされ、厳格な評価基準に基づいた精密な評価の必要性が高まっている。
 出力低下が発生し、モジュールメーカーの出力保証を受けるには、その原因が太陽電池モジュールにあることを事業主が立証しなければならないケースがある。しかし、性能評価を実施していないプロジェクトが多いのが現状であり、しっかりとした評価を実施できなかった発電所は、現時点で、太陽電池モジュールを含め、太陽光発電所全体の性能を評価し、把握することが重要となる。
 エーオンジャパンでは、これらを背景に同スキームを開発したとしている。