2016.12.22 銀泉が新たな地震復旧費用保険、事業停止時の費用カバー
銀泉(東京本社:東京都千代田区、安藤圭一社長)は、新たな地震復旧費用保険「銀泉ニュープロテクト」の取り扱いを12月1日から開始した(引受保険会社:スイス・リー・インターナショナル・エスイー 日本支店、以下SRIJ)。同商品は、罹災後、企業の事業が停止した場合に、事業継続のために最低限必要となる資金をカバーするもの。経常費と事業継続費用に対象を絞ったことで、廉価な保険料を実現している。日本では大規模地震が相次いで発生しており、企業向け地震保険へのニーズがさらに高まっていることから、同社では地震対策ソリューションの一つとして積極的に販売していく方針だ。
同商品は、罹災後90日間の経常費と事業継続費用が対象となる。経常費とは、損益計算書またはこれに類する財務諸表上の販売費、一般管理費、売上原価または製造原価、営業外費用のうち、支出が免れなかった費用をいい、事業継続費用は損益計算書などで算出される経常費を基に、想定事業継続費用金額を契約時に定額で協定する。1契約につき最低保険料は300万円からで、支払限度額は1億円から5億円まで、1000万円単位で設定が可能だ。
保険金の支払い対象は、①保険の対象施設内の建物・施設に損害有②契約時に設定する地震計(最大3カ所)で震度6弱以上を観測③財物損害により事業が3日間を超えて完全休業(敷地外ユーティリティー設備の機能停止・阻害の結果による完全休業を含む)―の3要件を全て満たした場合となる。保険期間は1年間(1年契約のみ)で、てん補期間は保険金の支払い要件に該当する地震発生日から完全休業が終了するまで(90日間を限度)となる。
東日本大震災以降、国民の地震に対する関心は高まっている。そうした中、政府や保険業界をはじめ、さまざまな関係団体が地震保険の必要性を啓発しており、個人向け地震保険は加入件数が着実に増加している。また、東日本大震災や熊本地震において、事業停止による利益・費用損害が財物損害を大きく上回る事例が多数発生したため、企業の事業継続のリスクヘッジとして企業向け地震保険への関心も高まっている。しかし、企業向け地震保険は火災保険や他の保険商品に比べて保険料が高額な他、保険会社の引受補償限度額に制限があるため、企業ニーズの高い利益・費用損害をカバーする地震保険の手配は難しく、個人向け地震保険に比べて加入率が低いのが現状だ。こうした課題を解決するため同社は、企業向け地震保険の引き受けで実績のあるSRIJの協力を得て「銀泉ニュープロテクト」を共同開発した。
同社では今後、中小企業の既契約者を対象に、地震対策ソリューションの一つとして「銀泉ニュープロテクト」を案内する一方、新規顧客のドアノックツールとして提案していく方針だ。また、財物リスク、事業中断リスク、物流リスク、賠償責任リスクを中心に、企業活動におけるリスク実態を現場調査やヒアリングによって把握・分析し、定量・定性評価する「銀泉最適保険プログラム(大・中堅企業向け)」「銀泉最適保険プラン(中小企業向け)」を提供している他、地震リスクについては、同社グループの銀泉リスクソリューションズが東電設計と共同開発した「地震リスク評価システム」に加え、「BCP策定支援サービス」を提供していることから、これらのサービスを通じて企業の地震対策を支援していくとしている。
井上専務執行役員は「早期復旧が遅れた場合は企業の信用力に影響する。首都直下地震や南海トラフ地震など、今後も大規模地震の発生が懸念される中、特に中小企業においては地震対策が十分ではない企業も多いため、顧客のリスク実態に見合った最適な保険設計とサービスの提供に努めていきたい」と強調する。
また、東京法人営業推進部の夜久部長は「これまでの企業向け地震保険では中小企業の要望に応えられない部分があったが、今回開発した商品であれば、これまで引き受けが難しかった地域や物件にも対応できる」として、今後の販売への意欲を示している。