2016.12.16 16年度第2四半期業績、基礎利益上位8社全て減
生命保険会社の2016年度4~9月期業績が明らかになった。それによると、経常利益は住友生命を除き、上位5社(以下総資産順)中4社が減益、また本業のもうけを示す基礎利益は、上位8社全てが減益となり厳しい内容となっている。しかもこれら全社で2桁を超える減少率となった。日本生命は3241億円で18%、第一生命が1887億円で同じく18%、かんぽ生命は1944億円で19%の減少を記録している。
保険料等収入では、上位10社中7社が前年同期比で減少したが、かんぽ生命、住友生命、東京海上日動あんしん生命が増加し、明暗が分かれた。日銀が採用したマイナス金利政策を背景に超低金利環境下、国内金利上昇時のリスクを抑制し財務の健全性を維持するため、多くの会社が貯蓄性の高い「一時払い終身」などの販売停止や抑制に動いたため、保険料等収入は減少した。
日本生命が2兆3627億円で18%、明治安田生命が1兆3763億円で24%、第一生命が1兆3142億円で7%の減少となった。明治安田生命は団体年金の引き受け抑制などのコントロールも実施した。増加した住友生命では、平準払い個人年金が人気を呼び新契約が増加し、12%増の1兆6641億円でこの部門で第3位に躍進した。
利息および配当金等収入は超低金利により、国内でも低調だったが、英国のEU離脱決定により上半期に円高ドル安が進んだ結果、外国投資からの利息や配当金が円換算時目減りすることも影響した。前年同期比で半減した会社も出て、現在順ざやの会社ですら、この傾向がさらに続くと逆ざやに転落するとの危機感が持たれている。
新契約年換算保険料は、個人年金、就労不能保障の1UP、第三分野商品の好調など若年層の取り込みに成功した住友生命の増加が著しく57%と高い伸びで1146億円となり、かんぽ生命、日本生命に次ぐ水準。
ソルべンシー・マージン比率は上位8社の中で2社が減少した。かんぽ生命が112.1ポイント減の1456.0%、明治安田生命が55ポイント減の883.5%となったが経営上はいずれも高い健全性を維持している。
下半期は、日銀のマイナス金利政策が継続されるとみられ、貯蓄性の高い一時払い商品について、多くの会社が販売に踏み切ることは難しいとされている。為替は円安に振れているが、先行きの楽観は許されず、生保経営はさらに厳しさが増すとの考えが大勢。