2016.11.30 明治安田生命 16年度上半期決算、営業職員チャネルが堅調
明治安田生命は11月24日に2016年度上半期決算を発表し、減収・減益となったことを明らかにした。日銀のマイナス金利政策を背景とする超低金利環境の継続や、英国のEU離脱決定を受けた大幅な円高の進行などの影響によるもの。為替などの運用環境の影響を除く、保険関係収支については計画通り進行していると説明した。営業職員チャネルでは平準払い商品の保険料等収入が増加し、新契約年換算保険料も前年同期を上回る結果となった。
保険料等収入は前年同期比24.0%減の1兆3763億円となった。超低金利環境を受けて、一時払い商品の予定利率引き下げや一部販売休止、団体年金の引き受け抑制などのコントロールを実施したことによるもので、同社では計画通りの進展としている。特に営業職員チャネルの平準払い商品の保険料等収入は同6.1%増加と順調に伸展した。
個人保険・個人年金保険の新契約年換算保険料は同14.7%減の824億円。営業職員チャネルは、総合保障商品「ベストスタイル」などの保障性商品の販売が好調だったことから、前年同期を0.2%上回り、614億円と引き続き増加した。特に第三分野は同12.1%増の197億円と大きく伸展。
また、保有契約年換算保険料は前年度末比1.1%増の2兆2198億円。契約クオリティーの向上などにより、上半期ベースで8年連続の純増となった。
団体保険の保有契約高は前年度末から0.2%減少したものの、111兆7262億円と業界トップシェアを堅持した。
個人保険・個人年金保険の解約・失効・減額率は、前年同期から0.06ポイント改善し、1.86%。総合継続率は13月目・25月目共に前年同期より改善した。これらのクオリティー指標は、定期点検などを通じた積極的なアフターフォローにより引き続き良好に推移している。
資産運用収支のうち、利息および配当金等収入は、前年同期比31億円減の3438億円。超低金利かつボラティリティの高い運用環境が継続する中、市場動向に応じた効果的な資産配分や資産運用の高度化・多様化などにより、ほぼ前年通りの水準を確保した。資産運用収支は、円高が進行する中、外国公社債における有価証券償還益の減少と有価証券評価損の増加などに伴って同877億円減の2349億円となった。
基礎利益は、同329億円減の2098億円。危険差と費差は前年同期から微増したものの、利差の減少により、前年同期を下回った。これについて同社は、前年同期を下回ったものの、計画を上回る水準を確保したと強調した。
ソルベンシー・マージン比率は前年度末比55.0ポイント減少の883.5%。その他有価証券評価差額金の減少などにより前年度末を下回るが、引き続き高い財務健全性を維持。なお、自己資本充実を目的に、8月には基金1000億円を募集した。内部留保等は同286億円増の2兆3182億円となった。
一般勘定資産全体の含み損益は円高の進行と株価の下落などにより前年度末比3459億円減の5兆8248億円を計上。国内株式含み損益のゼロ水準は、仮に同社ポートフォリオが日経平均株価にフル連動するとした場合、8200円程度。
企業価値(EEV)は営業職員チャネルにおける新契約業績の伸展や契約クオリティーの改善などにより、同1730億円増の5兆2329億円。中期経営計画の経営目標達成に向けて順調に推移している。ヨーロピアン・エンベディッド・バリューは、同733億円減の3兆3280億円。「ベストスタイル」などの販売好調により保有契約価値は増加したものの、円高の進行に伴う外貨建て資産の含み益減少により修正純資産が減少したと説明した。
16年度業績は減収・減益の見通しで、保険料等収入については金利上昇リスクや財務の健全性の観点から、一時払い商品の収入保険料をさらに抑制し、15年度決算報告時に発表した業績見通しから下方修正した。保険料等収入については、2兆4600億円程度(15年度決算報告時2兆6200億円程度)としている。
グループ業績では、グループ保険料が明治安田単体の影響を受け、前年同期比19.6%減の1兆4678億円。3月に完全子会社化した米国・スタンコープ社の16年3月から6月までの4カ月相当額の数値を合算したグループ基礎利益は、厳しい運用環境ではあったものの、減益幅を10.3%にとどめ、2192億円を確保した。連結ソルベンシー・マージン比率は43.7ポイント減少したものの、940.0%と高い健全性を維持した。