2016.11.02 アニコム損保が組織改編で代理店部門強化、ペットショップへの営業に注力

 アニコム損保は、契約拡大や損害率の低下に向けて代理店部門を強化している。同社のペット保険「どうぶつ健保」の加入経路は大きく二つで、生体購入と同時に保険に加入する経路(NB〈ニューボーン〉契約:主な代理店はペットショップ)と、既にペットを飼っている人が加入する経路(一般契約:ペットショップ以外の代理店経由)がある。最近の契約件数の割合は、NB契約が8割で一般契約が2割。同割合は5年前の7対3から変化しており、同社ではさらにペットショップへの営業を強化していく方針だ。
 同社では「ペットショップでの加入は、飼い主への安心の提供とペットショップのサポートの両方のメリットがある」として、代理店開拓と支援を強化している。
 今年4月には、それまでの営業開発部を廃止して、その機能を東日本営業1部および東日本営業2部に移管。7月には、「中日本・西日本営業部」を「中日本・西日本営業1部」と「同2部」に改編した。
 これらの組織変更では、営業に関して、それまで動物病院(注1)とペットショップとで分かれていた担当者をエリアによる営業担当制に変更した。これによって、近隣で2人の担当者が活動していた状態から、対象エリアを1人が担当するという効率化を実現。ペットショップにおける保険加入率のアップにつなげることができた。1部制から2部制とした営業部では、よりきめ細かな対応を可能にしており、既存ペットショップ代理店に対するサポートとして「ペット保険加入の成功事例や推奨トークの紹介」などにも一層力を入れている。
 また、ペットショップ以外の代理店としては、地銀や信金などが増えており、44の金融機関がドアノック商品として活用。その他には、生協、自動車のディーラー、他の保険会社(ソニー損保・朝日生命など)があり、代理店総数ではペットショップを上回っている。そちらについては企業営業部が担当しており、勉強会の開催や募集ツールの提供などを行っている。
 日本におけるペットの飼育頭数は2008年の2399万頭をピークに減少傾向にあるが、ペット保険市場全体の契約数は毎年2桁の伸びを見せる。普及率(飼育頭数に占める保険契約の割合)は5.4%(注2)程度で、加入が進んでいる英国の推計25%などと比べると拡大の可能性は高い。同社の保有契約・新契約は、共に右肩上がりで、17年3月期は「保有契約63万件、新契約11万8000件」を見込んでいる。
 一方、国内のペット保険提供会社の中でシェアが約6割と最も高い同社は、販売チャネルによる損害率に偏りが見られることを課題の一つと認識している。ペットショップ経由のNB契約に比べて、すでに飼っているペットの場合の損害率が高いこともあり、「ペットショップでの取り扱い拡大・付保率向上」を重視。さらに、「予防」(病気やけがを防ぐための取り組みやサービス)という新たな価値の提供にも着手しており、そこから損害率の改善につなげ、「無事故契約者」や「事故の少ない契約者」の継続率向上も図っていく計画だ。
 (注1)動物病院への営業とは、主に同社のペット保険を取り扱う「対応病院」(今年9月末時点で6011病院)へのフォローやサポートなど。
 (注2)『2016年ペット関連市場マーケティング総覧』(富士経済)による。