2016.08.31 大同生命がITイノベーション推進に本腰、部門横断メンバーで具体施策

 大同生命が今年4月に設置した「ITイノベーション推進プロジェクト」が本格的に稼働を開始した。同プロジェクトでは「ヘルスケア」「アンダーライティング」「営業支援」「契約事務」「コールセンター」の5領域を中心に検討を深め、11月から12月をめどに具体的な施策に取り掛かる計画。部門横断的な同組織では、隔週ペースだった会議開催頻度を今後、毎週に増やして内容を詰めていく予定だ。
 同プロジェクトは、今年度からスタートした新中期経営計画「Nextステージ2025~新たな価値の創造~」に掲げる「新たな価値の創造」を着実に推進するために組成された。5領域の検討を推進するために、各領域を所管する商品開発部門、営業企画部門、契約部門、企画部門の管理職8人が参画(兼務)しており、幅広い情報と経営資源の一元化を図っている。プロジェクトはシステム企画部内にあり同部が事務局を務めている。
 プロジェクトの「ヘルスケア」「アンダーライティング」の領域では、既に他社でも試行しているウエアラブル端末などから収集した顧客の健康データを活用した保険料の割引、医療ビッグデータの分析による引き受け査定基準の見直し(緩和)などを志向。
 「営業支援」の領域では、営業担当者が携帯するタブレット端末(エース・ウィズ)の次期切り替えタイミングも見据えた上で、ビッグデータ分析によるデータベースマーケティングの高度化や営業担当者向けのスマートフォンアプリ提供などを行い営業活動の効率化を図る。
 「契約事務」と「コールセンター」の領域では、顧客が持っているデバイス(スマートフォン、タブレットなど)を活用した保険サービスの提供、コールセンターや契約事務への人工知能の活用も検討する。同社はこれまで、メーンである法人顧客向けの施策を中心に行ってきたが、個人顧客向けのIT活用も推進する。
 システム企画部部長兼ITイノベーション推進プロジェクト・マネージャーの木下敏弘氏は「従来裏方だったシステム部門が会社の戦略的な部分を担うことになり、ITに関する潮目が変わったと感じている。『具体的な課題』に『何』を活用するかに、個社として取り組むことがキーになる」と話す。同プロジェクトの堀口聡志アシスタント・プロジェクト・マネージャーは「4月から7月までに、ITの最新事情、他社の動向、政府機関の動きなどの情報収集をしてきた。これから絞り込んでいく」、システム企画部の葛川佑馬係長は「ITの立場から会社の主要な施策に関われることは、難しいがやりがいがある」と意欲を見せている。
 木下プロジェクト・マネージャーは「今後、5領域の施策について優先順位をつけて検討・実施していく。新たなITの知見をグループ全体でも共有して改革を進める」としており、同社が経営ビジョンに掲げる「中小企業のお客さまに『最高の安心』と『最大の満足』をお届けする生命保険会社」を目指して取り組みを推進する方針だ。