2024.04.16 newmoと損保3社が個別業務提携契約 ライドシェア向け自動車保険検討へ 「ライドシェア事業一部解禁」に対応

タクシー・ライドシェアサービス運営のnewmo㈱(東京都港区、青柳直樹代表取締役)は3月7日、東京海上日動(東京海上スマートモビリティ含む)、損保ジャパン、三井住友海上の3社と個別にライドシェア事業に関する保険商品・サービス、および安全促進への取り組みの検討に係る業務提携契約を締結することで合意したと発表した。また、損保ジャパンは「ライドシェア事業の一部解禁」に対応、この3月から「移動支援サービス専用自動車保険(地域の移動を支える保険)」の商品改定を実施し、契約が可能な事業者の範囲を拡大した。

地域交通の「担い手」や「移動の足」不足などの社会問題に対して、この4月からタクシー会社の管理の下、地域・時期・時間帯を限定して一般のドライバーが自家用車を使い有償で利用者を送迎する「ライドシェア」事業が解禁された(「道路運送法第78条第3号に基づく制度」)。この部分解禁に当たっては、一般のドライバーや自家用車などによる新たな運行形態の開始に伴い、ライドシェア開始までにサービス提供に係るリスクの洗い出しと保険を含めた対応策の洗い出し、最適な保険およびドラレコサービスの構築など安全性の担保についてさまざまな対応が求められている。また、ライドシェアの活用では、配車アプリや運行管理システム等でテクノロジーの活用が見込まれており、車両データ・走行データなどを活用した新たな運行管理や安全確保の仕組みの検討も期待されている。
そのような中、newmoは、“利用者視点に立ったサステナブルな地域交通”の実現に向けて本年1月に設立されたスタートアップで、2月に約15億円の資金調達を実施し、大阪市域交通圏でタクシー事業を提供する㈱岸交(大阪府岸和田市、中塚貴志代表取締役)への資本参加を発表、今年の秋から大阪でライドシェア事業を開始する予定だ。
newmoと各損保会社は、今回の個別業務提携契約に基づき中長期的な安心・安全なライドシェアの実現・普及を目指して協業していく。
保険領域では、▽ライドシェア事業開始に向けた新たな保険商品・サービス▽事故発生時の対人・対物賠償、人身傷害に関する補償▽車両に関する補償▽ライドシェア事業の中で見えたペインポイントへの補償やサービス▽ライドシェア事業から得られたデータの活用―、保険周辺領域では、▽自家用車両へのドライブレコーダーの提供・設置▽安全運転講習の実施▽収集したデータを活用した安全運転促進への取り組み(スコアリング、ドライバーへの安全運転技術指導等)―などの各検討テーマについての取り組みの検討を推進していく。
今回の提携を通して、それぞれのノウハウや顧客基盤を持ち寄り、利用者に安心・安全なライドシェアサービスを提供することで、地域の交通課題解決を目指していくとしている。

【損保ジャパンで商品改定】
これに関連して損保ジャパンでは今年3月から、「道路運送法第78条第3号に基づく制度」に対応するため、2019年7月に市町村やNPO法人等向けに提供を開始した「移動支援サービス専用自動車保険(地域の移動を支える保険)」に加入できる事業者の範囲を拡大した。
改定前は同保険の対象事業者を「道路運送法における『自家用有償旅客運送』『許可・登録を要しない運送』を運営する市町村、NPO法人、ボランティア団体等の運営主体」としていたが、これに加え、「道路運送法第78条第3号に定める国土交通大臣の許可を受けて自家用車を用いた有償運送を運営する事業者」を追加した。
同保険は、従来、有志のドライバーなど(以下、登録ドライバー)が自らの所有する自家用車を持ち込んで移動支援サービスを提供している場合、万が一事故が発生した際には登録ドライバー自身が契約する自動車保険を使用することとなり、ドライバー確保の課題の一つとなっていたことを踏まえ、市町村やNPO法人等向けに提供を開始した商品。この商品の提供により、登録ドライバーが移動支援サービスを提供している間に事故が発生した際に、登録ドライバー自身が契約する自動車保険ではなく、同専用自動車保険で対応することを可能としている。