2022.05.06 MS&ADHD グループ新中期経営計画(22~25年度)策定、新たなリスクソリューション・ビジネス創造を加速
MS&ADインシュアランスグループホールディングスは4月11日、2022~25年度までの4年間を対象とした「MS&ADグループ中期経営計画」を策定したことを発表した。同社グループは持続的成長と企業価値向上を追い続ける世界トップ水準の保険・金融グループの創造を目指し、前中期経営計画「Vision2021」を通じて社会との共通価値の創造(CSV)に取り組んできた。新中計では、前中計を通じてグループに定着したCSVやDXに対する高い意識を、新たなリスクソリューションの提供や新たなビジネスの創造などの成果につなげる動きへ加速させていく。それにより、さまざまな社会課題に対して保険サービスを含むあらゆるリスクソリューションを提供し、レジリエントでサステナブルな社会の実現に貢献していくとしている。
新中計ではまず、「目指す姿」の①定性目標②定量目標―を設定。①の定性目標では、「レジリエントでサステナブルな社会を支える企業グループ」を目標に掲げ、リスクソリューションのプラットフォーマーとして、気候変動をはじめとした社会課題の解決に貢献し、社会と共に成長していくことを目指すとした。経済的な損失の補てんに加えて、補償・保障前後における商品・サービスをシームレスに提供していく他、デジタルを活用したマーケティング、アンダーライティング、損害サービス、リスクコンサルティングにより、最適なソリューションを提供していく。
②の定量目標では、IFRSベース純利益で25年度4700億円、修正ROE(注1)で安定的に10%以上の達成を目指すとした。IFRSは今後世界各国の保険会社で導入が進むと見込まれており、同国際会計基準に基づく目標設定としている。
取り組みでは、①Value(価値の創造)②Transformation(事業の変革)③Synergy(グループシナジーの発揮)―を基本戦略として、それぞれ取り組みを進める。
①では、CSV×DXをグローバルに展開することで気候変動をはじめとした社会課題の解決に貢献し社会と共に成長していくとともに、ビジネス・商品・サービスの収益性を高め収益基盤を強化する。主な取り組みとしては、「MS&AD Value戦略」の下、経済的な損失の補てんに加え、補償・保障前後における新たな価値を提供する商品・サービスの開発と収益化を推進する。
②では、新たなビジネスの創造等、事業の構造を変革し事業環境の変化に適応していくとともに、事業・商品・リスクポートフォリオを変革し安定的な収益基盤を構築する。主な取り組みとしては、事業ポートフォリオの変革に向け、海外事業・生保事業・デジタルを活用した新たなビジネスの拡大により、リスク分散がより効いた事業ポートフォリオを構築する。
③では、グループの多様性を生かし連携を強化することによる一層の成長の実現、グループ共通化・共同化・一体化を深化させることによる生産性向上、グローバルベースでのシナジー発揮を目指す。主な取り組みとしては、「1(ワン)プラットフォーム戦略」の下、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保のミドル・バック部門(注2)で共通化・共同化・一体化をさらに進めることで、業務効率と業務品質を向上させる。
また、新中計ではこれら基本戦略を支える基盤として「サステナビリティ」「品質」「人財」「ERM」を挙げ、「サステナビリティ」についてはステークホルダーと同社双方にとって重要度が高い社会課題の解決を目指し、三つの重点課題(地球環境との共生“Planetary Health”、安心・安全な社会“Resilience”、多様な人々の幸福“Well―being”)に取り組む他、「品質」については戦略実行の基盤となる社会の信頼と顧客満足の確保、「人財」については戦略実行を支える人財の確保とともに活躍できる環境の整備、「ERM」についてはリスク・リターン・資本のバランスを取った経営資源配分に、それぞれ取り組むとした。
同社では、定量目標の詳細、各事業領域の戦略、株主還元方針など、計画の全容については、2021年度決算発表後にあらためて公表するとしている。
(注1)修正ROE=IFRS純利益÷(IFRS純資産-政策株式の含み損益)
(注2)事務、損害サービス、商品、システムなど営業以外の部門