2022.02.09 東京海上日動 不動産取引保険(表明保証保険)発売、「安全・安心な不動産取引の実現」

東京海上日動は1月から、事業用の不動産取引を対象とした売主の表明保証違反による買主の損害を補償する保険の販売を新たに開始した。本保険の販売を通じて、国土交通省が「不動産業ビジョン2030」で掲げる「安全・安心な不動産取引の実現」を後押ししていくとしている。

 不動産売買契約では、売主が取引対象の対象不動産に関し、権利関係、情報開示、順法性などの事項について真実かつ正確であることを表明および保証する条項(以下、表明保証)を設ける場合がある。買主は広範囲な保証を希望する一方で、売主は限定的な保証を希望する傾向があることから、売買当事者の双方が満足する内容で合意することが難しいポイントとなっている。今回の不動産取引保険(表明保証保険)はこの問題を解決する手段として活用できる。
 本保険は、不動産取引時に表明保証違反が生じたことに起因する買主の損害を補償することにより、不動産取引の円滑化を後押しする。本保険を活用することにより、不動産の買主は保険会社の信用力の活用、不動産買収提案の優位性向上や売主との良好な関係維持を図ることができる。また、不動産の売主は信用力の補完や当該取引案件からの早期資金回収等のメリットを得られる。
 本保険の概要は、不動産の買主(不動産投資ファンドや不動産会社など)が被保険者となり、事業用の不動産取引(信託受益権の売買を含む)を対象に、不動産売買契約書に規定される売主の表明保証に違反が生じたことによって、買主が被る損害に対して保険金を支払うもの。
 本保険で補償される主な表明保証の内容は次の通り。
 ▽所有権:「本件不動産の所有権並びにこれに付随する一切の権利及び権限は売主に帰属し~、本件不動産の所有権について、対抗要件を具備している。」
 ▽境界・越境:「本件不動産に隣接する土地との境界について、隣接する土地の所有者又は占有者との間に、訴訟、仲裁~は係属していない。」
 ▽賃貸借:「別紙○○に記載された契約は、いずれも適法かつ有効に締結され、有効に存続している。」
 ▽情報開示:「対象不動産に関連する重要または文書及び情報で、開示要請を受けたものはすべて開示しており、開示情報は重要な点において真実かつ正確である。」
 ▽法令順守:「本件不動産及びこれらに付属する固定資産には、サイニング日/クロージング日において適用のある法令又は規則に違反する事実は存在しない。」
 ▽瑕疵(オプション):「対象不動産は構造上の欠陥を有しておらず、良好な状態に管理又は整備され、現在供されている用法での利用に適した状態にある。」
 なお、本保険で補償しない表明保証には、土壌汚染(「環境関連法令により保有、使用、譲渡等につき禁止、制限その他の規制がなされている物質が基準値を超えて存在しておらず~。」)がある。
 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、資産効率の向上などの観点から、企業が保有する不動産を売却する動きが広がっている。また、世界的な金融緩和により、資金が豊富な不動産投資ファンドが買主となる不動産取引も増加している。このような情勢の下、東京海上日動では、売主・買主双方が安心して不動産を取引できる環境づくりを支援するため、本保険を開発したとしている。