2023.11.20 第一生命HD 23年度第2四半期決算 修正利益は24%増、進捗率64% 新契約保険料は29%増、国内は45%増

第一生命ホールディングスが11月14日に発表した2023年度第2四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比1.5%減の5兆5367億円、連結保険料等収入は同11.9%増の3兆6822億円となった。グループ基礎利益は同4%増の2158億円だった。連結経常利益は同12.0%増の2645億円。グループ修正利益は同24%増益の1732億円となった。国内は第一生命における利配減、第一フロンティア生命の販売増を起因とする減益等を保険関係損益の改善で相殺し通期見通しに対し57%の進捗、海外は豪TALの基礎的収益力向上や経済変動等の増益要因により69%の進捗となり、グループ全体では64%の進捗で、通期見通し2700億円に向け国内・海外共に順調としている。親会社株主に帰属する中間純利益(連結純利益)は、第一フロンティア生命におけるMVA関連損益に含まれる金利変動損益で損失が発生したものの、同31.1%増益の1574億円。

グループ全体で新契約年換算保険料は同29.1%増の2395億円。第一フロンティア生命が高い金利水準が続く米ドル建商品等を中心に引き続き好調な販売量を維持し全社をけん引、ネオファースト生命も前年同期を上回った結果、国内4社計で同44.6%増の1819億円となった。第一生命が同11.6%減の223億円、第一フロンティア生命が同58.4%増の1499億円、ネオファースト生命が同8.4%増の63億円、アイペットが32億円だった。海外6社計の新契約年換算保険料は、第一生命ベトナムで銀行チャネルの販売が大きく減少した影響等により、同3.5%減の576億円。
グループ全体の保有契約年換算保険料は前年度末比5.5%増の4兆7738億円だった。国内4社計では同3.2%増の3兆2194億円。第一生命は同1.5%減の1兆9682億円で、このうち第三分野は同0.7%減の6970億円。第一フロンティア生命は同14.7%増の1兆1064億円、ネオファースト生命は同10.9%減の1112億円、アイペットは同2.9%増の335億円。
グループの新契約価値は前年同期比92%減の50億円で、通期見通しを期初予想の850億円(第一生命300億円、第一フロンティア生命・ネオファースト生命200億円、海外350億円)から250億円程度(第一生命100億円、第一フロンティア生命・ネオファースト生命150億円、海外0億円)に引き下げた。国内では、第一生命の誤計上(9月公表)や今後の販売見通し等を考慮した他、第一フロンティア生命で運用ポートフォリオ変更により実際の運用利回りが計算上反映されない運用資産が増加したことや、ネオファースト生命の新契約マージン低下等が影響。海外では、第一生命ベトナムの販売量低下に加え、米プロテクティブでリタイアメント事業で販売している一部商品についてEV計算上の割引率を上回る運用利回りが反映されないこと等が影響した。第一生命の新契約については、グループ商品を含む営業収益価値等に回復のトレンドはあるものの、元受けとしての本格的な回復には一定の時間を要する見通しとしている。
第一生命グループのその他の指標で、連結ソルベンシー・マージン比率は653.6%と前年度末比50.5ポイント低下したが、引き続き高い水準を維持している。
グループ各社の業績では、第一生命の保険料等収入は前年同期比90億円減(▲1%)の1兆1469億円、資産運用収益は同1163億円減の6024億円だった。経常費用は同1262億円減の1兆7211億円で、このうち保険金等支払金は同511億円増の1兆2076億円、責任準備金等繰入額は同321億円減の42億円、資産運用費用は同1368億円減の2047億円、事業費は同86億円減の1869億円だった。基礎利益は、ヘッジ外債売却に伴う利配収入減少やヘッジコスト増加による順ざや減少を保険関係損益の回復で相殺し、同3%増の1426億円。中間純利益は同48億円増の1168億円だった。修正利益は、前記に加え金融派生商品損益をはじめとするキャピタル損益の悪化があったが、特別損益の回復で相殺し、同じく同4%増の1168億円となった。
なお、第一生命の為替ヘッジ付外貨建債券運用の状況では、為替ヘッジコストの高止まりに対応し、為替ヘッジ付外債の売却計画を前倒しで実施。為替ヘッジ付外債(為替予約)の簿価残高は1兆円を切る水準まで低下した。 残高削減の結果、ヘッジコストの通期見通しは約700億円と期初見通しの水準まで低下しており、今後の残高削減については市場金利の動向を見極めつつ、必要に応じて機動的に実施予定としている。
第一フロンティア生命の保険料等収入は前年同期比3454億円(28%)増の1兆5742億円、資産運用収益は同1110億円減の6435億円だった。経常費用は同2705億円減の2兆2564億円で、このうち保険金等支払金は同9519億円減の1兆3692億円、責任準備金等繰入額は同8115億円増の8122億円、資産運用費用は同1430億円減の168億円、事業費は同101億円増の479億円となった。基礎利益は販売増加に伴う標準責任準備金繰入れや販売手数料の増加に伴う保険関係損益の減少等が影響し、同216億円減の▲187億円。中間純利益は基礎利益の悪化に加え、前期の再保険関連収益の剥落や円安に伴う危険準備金の繰入れ増加等の影響により、同204億円減の▲310億円。MVA関連損益等を除いた修正利益は同153億円減の▲97億円だった。
ネオファースト生命の保険料等収入(再保険収入を除く)は、前年同期比155億円(24%)減の484億円となった。中間純利益は、経営者保険の解約増加等に伴い保険金等支払金が増加した一方、責任準備金戻入額の増加によるその他経常収益の増加等により、同37億円増の▲5億円だった。
海外事業では、海外保険事業全体の修正利益については、米プロテクティブが前年同期の金利上昇に伴う評価性損失が縮小、豪TALが基礎的収益力の向上等の影響でそれぞれ増益となり、前年同期比86%増の586億円となった。
米プロテクティブの中間純利益は、前年同期に大きな影響を及ぼした金利上昇に伴う評価損が縮小したこともあり、4700万米ドル増の800万米ドル(前年同期は3800万米ドルの損失)だった。豪TALの中間純利益は、金利変動等に伴う資産・保険負債の変動に起因する益は前年同期を下回ったものの、基礎的収益力の増益などにより、同17%増の3億3300万豪ドルだった。第一生命ベトナムの中間純利益は、新契約業績の低下に伴い事業費や責任準備金繰入が減少したものの、金利低下に伴うユニバーサル保険の責任準備金積立増加等により、同9%減の1兆2060億越ドンだった。