2023.10.31 東京海上日動、エーザイ アルツハイマー病を対象、「認知症治療支援保険」共同開発 軽度認知障害の検査や治療費用を補償

東京海上日動とエーザイ㈱(内藤晴夫代表執行役CEO)、は9月28日、業務提携の一環として、認知症の早期発見や早期治療を経済的に支援する「認知症治療支援保険」を共同で開発したと発表した。両社では今後、認知症との共生社会実現に向けて、さまざまな企業・団体と連携しネットワークを拡大していくことで、社会課題の解決につながる取り組みをさらに進めていくとしている。

両社は、2019年8月に認知症との共生社会実現に向けた業務提携契約を締結し、エーザイが開発した認知機能のデジタルチェックツール「のうKNOW(R)」(注1)を東京海上日動が販売する「認知症アシスト付き年金払介護補償」の付帯サービスとして21年4月から提供を開始するなどの共同取り組みを進めてきた。
認知症はこれまで治療が難しいとされていたが、認知症の約6割を占めるアルツハイマー病について新たな治療薬が承認され、早期段階で投与することにより疾患の進行の抑制が期待できることから、認知症の早期発見や早期治療への備えの重要性が増している。
新たな治療薬は、アルツハイマー病による軽度認知障害および軽度認知症の人が対象となるが、その判断にはアミロイドβ病理の確認を行うPET検査(注2)等を受ける必要がある。こうした検査・治療には一定の自己負担を要することから、「認知症治療支援保険」では、これらを経済的に支援する補償を提供する。
東京海上日動が持つ保険商品・関連サービスで培ってきたノウハウに加えて、エーザイの認知症領域における豊富な経験を活用し、認知症の早期発見や早期治療について経済的に支援する新たな保険商品を開発したもので、アルツハイマー病による軽度認知障害またはアルツハイマー型認知症に特化した補償の提供は業界初(東京海上日動調べ)だという。
「認知症治療支援保険」では、早期発見の支援として、初めて軽度認知障害(認知症を含む)と診断確定された場合に、アミロイドPET検査の費用等に充てられる「軽度認知障害等一時金」30万円(上限)を支払うほか、早期治療の支援として、初めてアルツハイマー病による軽度認知障害(アルツハイマー型認知症を含む)と診断確定された場合に、新たな治療薬による治療費用等に充てられる「アルツハイマー病による軽度認知障害等一時金」100万円(上限)を支払う。また、付帯サービスとして、加入者に「のうKNOW」を提供し、認知機能の低下をチェックすることで、早期発見・早期治療への導線をサポートする。
契約方式は企業等を契約者とし、その構成員等が任意に加入する団体契約となる。契約者には、加入時に健康状態告知と併せて「のうKNOW」を実施する。
保険料は契約条件によって異なるが、保険料例として、50~54歳の男性、軽度認知障害等一時金30万円、アルツハイマー病による軽度認知障害等一時金100万円の場合、月額1370円としている。
(注1)トランプをモチーフとした四つの簡便なテストを通じて、脳の反応速度、注意力、視覚学習および記憶力を、パソコンやタブレット、スマートフォンを使ってチェックすることができるツール(非医療機器)。
(注2)PETは“positron emission tomography”(陽電子放出断層撮影)の略。放射性薬剤を体内に投与し、特殊なカメラで撮影・画像化する。アミロイドPET検査は、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβの脳内沈着をみる検査。