2023.04.07 東京海上日動はじめ6社 ドローンとスマホアプリを活用、家屋被害調査サポートサービス開発へ

東京海上日動、㈱NTTデータ、応用地質㈱、日本電信電話㈱、東日本電信電話㈱、三菱電機インフォメーションシステムズ㈱の6社は、防災コンソーシアムCOREの分科会としてデジタル技術を活用した災害時の生活再建までの期間短縮・被災者の負担軽減をテーマにサービス開発に取り組んできたが、3月10日、技術実証を通じ、ドローンとスマートフォンアプリを活用し家屋被害状況を効率的に収集するサービス(以下、家屋被害調査サポートサービス)の開発に取り組むと発表した。

防災コンソーシアムCOREは東京海上日動が発起人を務め、業界の垣根を越えた多様な企業が一堂に会し、企業間の共創、国・自治体等との連携のほか、防災・減災に関する4要素(現状把握・対策実行・避難・生活再建)の高度化に取り組んでいる。
その一環として6社は、水災時における自治体業務の効率化・省人化を支援し、罹災(りさい)証明書の発行を支援していくため、ドローンとスマートフォンアプリを活用した水災時の家屋の被害調査サポートサービスを開発することにしたもので、同サービスの設計にあたっては、昨年12月に6社で技術実証(注)を行い、技術面の有効性を確認しているという。
自然災害発生時には、損保会社による被害調査や、自治体における各種調査、申請支援などの業務が発生するが、災害の激甚化や広域化、人手不足等により、被災者への初動対応・早期復旧に関わる対応が逼迫(ひっぱく)するケースが出てきている。特に、自治体の罹災証明書の発行業務は、限られた人員の中で被災状況の調査から証明書の発行まで行う必要があり時間を要することから、被災者の生活再建に遅れが生じているという課題があった。
開発に取り組む家屋被害調査サポートサービスは、山間部や二次被害が想定され人手による調査が困難・危険なエリアや大規模災害時等の広域な被害エリアを対象エリアとするドローンによる調査と、密集した市街地や局地的な早期計測が必要なエリアを対象エリアとするスマートフォンアプリによる調査がある。
ドローンによる調査では、ドローンで撮影した浸水深の測定結果、家屋被害状況の3D写真を提供する予定で、そのことにより山間部や人が簡単に踏み込めないエリアに対しての家屋被害の効率的な調査を実現する。従来このようなエリアでは、罹災証明書の発行に時間を要していたことから、今後は罹災証明書の発行までの時間短縮が期待できるという。
また、スマートフォンアプリによる調査では、スマホアプリ(LiDARカメラ)で撮影した浸水深の測定結果、家屋被害状況の写真を提供する予定で、そのことにより密集した市街地や局地的な早期計測が必要なエリアに対しての家屋被害の効率的な調査を実現する。従来のアナログな測定だけではなく、デジタルを用いた新たな家屋被害調査を実現することで、罹災証明書の発行までの時間短縮が期待できるという。
防災コンソーシアムCOREでは今後、2023年度中にサポートサービスの実用化を目指し茨城県で試験的な導入を行い、同県と連携して実務における課題整理や査定技術の精度を高めたうえで、24年度に社会実装として各自治体への展開を検討するとしている。
(注)福島ロボットテストフィールドで実際に浸水跡のついた建物を対象とし、①従来の職員によるポールやメジャー等を使った目視判定②ドローンによる計測③スマホアプリを用いた計測―の3種類の手法で浸水深の計測を実施しそれぞれの誤差を確認したところ、ドローン、スマホアプリとも時間・人手の効率化と誤差1センチメートル以内の精度の結果を得たとのこと。