2023.02.02 損保ジャパン パラメトリックス社のシステム障害定量化技術活用、オンラインサービス事業者に補償提供

損保ジャパンは1月6日、協業関係にあるイスラエルのスタートアップ企業Parametrix Ltd.(以下、パラメトリックス社)の最先端のデジタル技術を活用したシステムダウンリスクの定量化・検知技術を、今後さまざまなオンラインサービスの提供事業者のシステム障害リスクを補償する複数の保険商品の引受業務に活用していくと発表した。

パラメトリックス社は2019年8月に設立されたスタートアップで、ウェブサービスのシステム稼働データ収集、モニタリング、ダウンタイムモデリング(保険のプライシングモデル)を事業内容としている。損保ジャパンは2020年8月から、パラメトリックス社が有するクラウドサービスのシステムダウン時のリスク検知に関する技術を活用し、デジタルプラットフォーマーに向けた商品のマーケティングを行っていた(本紙21年5月18日付)。当初は主にEC事業者のシステムダウン時に発生する損害を補償する商品でニーズを検証していたが、1月からEC事業者に限らず、オンラインで事業を行う事業者に向けパラメトリックス社と連携して商品提供を開始した。
新型コロナウイルス感染症の流行を背景に、SaaS市場、ネット証券などの金融機関、オンラインコンテンツ・サービス提供事業者、イベント開催・支援事業者など、インターネット上でのサービス・事業は世界的に急拡大しており、これらさまざまな事業を行う際に存在するシステムダウンのリスクに備える保険を提供することで、安心・安全な事業環境の構築を支援するとしている。
パラメトリックス社の技術をオンラインサービスのシステム障害リスクに対応する商品に活用するに当たっては、①オンラインサービスSLA(注)拡充補償②オンラインビジネス利益補償③オンラインイベント中止補償―の三つの補償の設計に活用する。
①のSLA拡充補償は、サービス提供事業者を契約者・被保険者とし、サービス提供事業者がサービス利用者と結ぶSLAに基づいた補償金の支払いによる損害を補償する。保険により補償資力をバックアップすることで、より積極的な利用者保護を実現し、顧客満足度の向上や他社サービスとの差別化を図ることが可能になる。
②のビジネス利益補償は、サービス提供事業者・サービス利用事業者を契約者・被保険者とし、営業が停止した時間(システムダウン時間)に応じた喪失利益を補償する。損害の大きさは直近の売上高から推定されるため、実際の損害により忠実な補償が可能になるとしている。
③のイベント中止補償は、サービス提供事業者・サービス利用事業者を契約者・被保険者とし、被保険者のサービスを利用して企画・実施されるオンラインイベントが中止・変更を余儀なくされた場合に発生するお詫び費用や再開催費用等を補償する。イベントごとに補償が可能のため、個別性の高い補償が可能だとしている。
(注)Service Level Agreementの略で、サービスの提供事業者とその利用者の間で結ばれる、サービスのレベル(定義、範囲、内容、達成目標等)に関する合意サービス水準、サービス品質保証のこと。