2022.08.23 かんぽ生命 22年度第1四半期決算、純利益は71%減116億円、新契約年換算保険料は42%増

かんぽ生命は8月10日、2022年度第1四半期決算を発表した。連結業績では、新型コロナウイルス感染症に対する保険金支払の増加等および保有契約の減少等に伴い保険関係損益が減少したため基礎利益が減少。さらに主に減損に伴うキャピタル損益の悪化により、経常利益は前年同期比85.4%減の134億円で、通期業績予想の1600億円に対する進捗率は8.4%にとどまった。四半期純利益は同71.8%減の116億円となり、通期業績予想の710億円に対する進捗率は16.4%だった。進捗率は低いものの、ベースとなる基礎利益は堅調に推移(対計画比28.3%)しており、現時点で22年5月13日に公表した業績予想から変更は行わないとしている。

連結主要業績では、経常収益は前年同期比561億円減の1兆6089億円で、通期業績予想の6兆2200億円に対する進捗率は25.9%。このうち、保険料等収入は同670億円減の5769億円、資産運用収益は同250億円減の2558億円、責任準備金戻入額は同233億円増の7595億円だった。
契約の状況では、個人保険の新契約年換算保険料は同42.0%増の166億円と伸展。第三分野の新契約年換算保険料は同157.8%増の12億円と大幅に伸展した。保有契約年換算保険料は、個人保険が3兆4532億円で前期末比2.4%減、うち第三分野が6174億円で同1.5%の減少となった。
個人保険の保有契約件数は、新旧区分合算で前期末比2.2%減の2230万件だった。商品別に見ると、養老保険は756万件(占率33.9%、前期末実績785万件)、終身保険は1142万件(占率51.2%、前期末実績1156万件)、学資保険は318万件(占率14.3%、前期末実績325万件)、その他は12万件(占率0.6%、前期末実績12万件)となっている。
経常費用は前年同期比224億円増の1兆5954億円で、このうち保険金等支払金は同158億円減の1兆4219億円、資産運用費用は同289億円増の427億円、事業費等は同93億円増の1307億円だった。第1四半期の委託手数料は、同101億円減の349億円。このうち、新契約手数料は同15億円増の97億円、維持・集金手数料は同117億円減の252億円だった。拠出金は同9億円減の125億円だった。
経常利益は同786億円減の134億円。総資産は前期末比1兆6722億円減の65兆5025億円で、純資産は同1109億円減の2兆3101億円となった。
今期の新型コロナウイルス感染症に対する支払状況では、死亡保険金が2014件・67億61万円(21年度通期が3807件・133億1457万円)、入院保険金が25万3275件・100億7329万円(同11万562件・54億6951万円)だった。保険金支払全体の状況では、今四半期が約1.2兆円、21年度通期が約4.9兆円、20年度通期が約5.1兆円となっている。
かんぽ生命の単体ベースでは、新型コロナウイルス感染症に対する保険金支払の増加等、保有契約減少および新しいかんぽ営業体制の構築等に伴う事業費増加に伴い保険関係損益が減少したため、基礎利益は前年同期を378億円下回る622億円となった。内訳(注)は、保険関係損益は前年同期からの増減が▲446億円の357億円。順ざやは同+67億円の264億円で、このうち為替に係るヘッジコストは同+11億円の▲13億円だった。
そのほか、キャピタル損益の悪化(減損等▲464億円)の影響により、経常利益は同785億円減益の130億円となった。
キャピタル損益の相当額および為替に係るヘッジコストについては価格変動準備金を取り崩す会計処理により相殺されるものの有価証券の減損に伴う税負担等により法人税等合計が前年同期並みとなったこから、四半期純利益は前年同期を295億円下回る113億円となった。
外国債券等の収益追求資産への投資残高は、前期末比1011億円減の11兆1272億円で、総資産に占める割合は17.0%(前期末16.7%)に拡大した。平均予定利率は、前年同期から0.01ポイント下がり1.68%、利子利回りは同0.04ポイント増加し1.87%だった。
有価証券の含み益は4兆5350億円で前期末から1兆1374億円減少した。
連結ソルベンシー・マージン比率は、1021.0%で前期末比24.5ポイント減少した。
エンベディッド・バリュー(EV)は、外国金利上昇に伴う外国債券の含み益の減少等により、前期末比2.3%減の3兆5343億円だった。
(注)基礎利益については23年3月期において、経済的な実態の反映および各社間の取扱いに一貫性を持たせる観点から、計算方法について一部改正(為替に係るヘッジコストを基礎利益の算定に含め、投資信託の解約益を基礎利益の算定から除外)がなされており、本第1四半期より適用を開始している。為替に係るヘッジコストについては、従来通り価格変動準備金を繰り入れる、または取り崩す会計処理を実施。前年同期および前期末の基礎利益、順ざや、利子利回りおよびキャピタル損益については、これら改正を反映した数値となっている。