2022.07.15 T&Dホールディングス 定時株主総会 利益拡大による資本効率向上が進展、生保3社は商品ラインアップ拡充

T&Dホールディングスは6月28日、京王プラザホテル(東京都新宿区)で第18回定時株主総会を開催した。上原弘久社長は、21年度にスタートしたグループ長期ビジョン「Try&Discover2025~すべてのステークホルダーのしあわせのために~」の1年目の進ちょくについて説明し、修正利益、修正ROE、新契約価値のいずれも好調に推移しており、利益拡大による資本効率向上が着実に進展していること、太陽生命では資本効率向上とリスク削減を目的に、個人年金保険の一部について再保険取り引きを実施したことなどを報告した。総会への出席者は57人。剰余金処分の件、定款の一部変更の件、監査等委員でない取締役8名選任の件、監査等委員である取締役5名選任の件、補欠の監査等委員である取締役1名選任の件の5議案が審議され、全て承認された。事前質問として、T&D保険グループの今後の方向性や取締役増員の理由と背景、今後の女性取締役登用の考え方についての質問が寄せられた。

グループ長期ビジョン「Try&Discover2025~すべてのステークホルダーのしあわせのために~」では、成長戦略として、①コアビジネスの強化②事業ポートフォリオの多様化・最適化③資本マネジメントの進化・高度化④グループ一体経営の推進⑤SDGs経営と価値創造―の五つを掲げている。
これらを踏まえた2021年度の取り組みについて上原氏は、フォーティテュード社において米国変額年金保険の保有契約群の取得を決定し、競争力強化を目的としたグループの組織再編を実施するなど、戦略的な成長目標の達成に向けた積極的な事業展開を継続しているとした。
また、ESG関連では、責任ある機関投資家として自社の投融資先によるCO2排出量もネットゼロ目標の対象と定め、中間目標として30年度までに20年度比40%削減を設定。さらに人的資本向上の取り組みとして、全ての人が活躍できる働く場づくりを推進した他、国連が支持する「責任投資原則(PRI)」に署名したことや、同社グループのESG投資に対する姿勢を表明する「T&D保険グループESG投資方針」を制定したことを報告した。
一方で、デジタルの活用を効果的に組み込むための方針「T&D保険グループデジタルビジョン」も策定したと述べ、リアルとデジタルの融合による営業活動の変革やデータを活用した最適な商品・サービスの提供に取り組む姿勢も強調した。
グループの生保3社の取り組みとしては、商品ラインアップの充実に関して、太陽生命は「ひまわり認知症予防保険」「ガン・重大疾病予防保険」の他、少子化対策に向けた「出産保険」を提供。大同生命は健康増進型保険「会社みんなでKENCO+」をリリースした。T&Dフィナンシャル生命では、人生100年時代の自助努力による資産形成をサポートするべく、円建ての一時払変額終身保険「ハイブリッドアセットライフ」を、長生きへの備えとして死亡保険金最低保証特約を付加した円建ての一払変額終身保険「ハイブリッドあんしんライフ」を提供していることを紹介した。
各種取り組みの結果、21年度のグループ主要業績は、新契約年換算保険料が1219億円で前期比10.5%増となり、第三分野の新契約年換算保険料は359億円と前期比12.1%増を達成。基礎利益は同14.3%増の1840億円、順ざや額は同63.2%増の948億円となったことを報告した。
上原氏は長期ビジョンの進ちょくについて、「21年度は太陽生命の再保険取り引きの影響を除くと、修正利益、修正ROEは前年度実績を上回った。これは生保3社の業績が堅調に推移したことに加えて、クローズドブック事業への投資を行うT&Dユナイテッドキャピタルが増益を達成したことによるもの。生命保険3社の新契約業績の好調から、新契約価値も大幅に進展しており、1年目は想定以上の成果が出ている。今後は2025年目標値の前倒しの達成を目指していく」との考えを示した。