2022.06.07 損保ジャパン、ANA NEO 国内最大メタバースで実証実験、Web3.0型時代見据えた変革目指す

 損保ジャパンとANA NEO㈱(東京都中央区、冨田光欧代表取締役社長)は5月13日、ANA NEOがメタバース上で開発中の新しいサービス「SKY WHALE(仮)」と、損保ジャパンの保険商品開発やリスクマネジメントのノウハウを活用し、メタバースにおける新たな保険商品開発やサービスに関する可能性を検証するための実証実験(PoC)の実施に関する基本合意書を締結したと発表した。

 ANA NEOはANAホールディングス㈱が55.9%、JP GAMES㈱が37.4%出資し2020年8月に設立された企業。「SKY WHALE(仮)」は、世界的に知名度の高いゲームクリエーター、田畑端取締役Co―CEO兼総合プロデューサーが中心となって、メタバース空間を活用した未来のライフスタイルを企画・提案するサービスとされている。京都をはじめ世界中の旅先をメタバースで創り上げるメタバース旅行を本年リリースし、NFT(非代替性トークン)も導入する予定だ。田畑氏が代表を務めるJP GAMESが開発するハイクオリティなメタバース空間を構築するツール「PEGASUS WORLD KIT」上で開発を進めている。
 「SKY WHALE(仮)」は、世界152カ国以上に展開し、ANAマイレージ会員約3400万人、国際線・国内線搭乗者の5442万人を取り入れることで国内最大規模のメタバース基盤となる。このような大規模な基盤を活用して保険会社が実証実験を行うケースは、損保ジャパンによると世界初とのこと。同社ではこのプロジェクトに参画することで、保険・リスクマネジメントを中心としたさまざまなケースに関する検証を実施する。
 具体的には、メタバースにおける①保険商品開発に関する市場性・事業性の検証②各種取引等に関するリスク実態の検証③保険や関連事業の適合性検証④各種データ分析、有用性等の検証⑤保険、リスクマネジメント分野以外での事業連携、ビジネス共創の検討等―を主に検証する。加えて、デジタルアイテムとデジタルコンテンツに関する商取引、メタバースでのUX(ユーザーエクスペリエンス)に関してカバーする保険、Web3.0型のビジネスモデル(ウォレットやNFT取引、越境)の関連領域についても検証を行う。
 今までの保険のあり方やデジタルアセットの活用も考慮し、契約や加入プロセス、商品設計や契約保全に至るまで深く検討を行い、Web2.0型からWeb3.0型志向の保険会社への変革を目指すとしている。
 ANA NEOは「現在、幅広い業界の協業パートナーとも提携を進め、地域創生や地産外商等のSDGsビジョンに加えて、ゲーミフィケーションを活用したサービス企画、独自の技術を積極的に他社に開放するオープンイノベーション、高度なゲーミングテクノロジーの利活用等、当社のビジネスモデルが評価されている。本サービスは模倣困難なコアコンピタンスを有し、ANAグループの顧客基盤等との融合により持続的な成長を目指していく。今後、ANAグループやアライアンスパートナーのネットワークをより一層連携し、世界に先駆けたメタバースサービス『SKY WHALE(仮)』の事業構築を加速させる」としている。
 損保ジャパンでは、「現在はいわゆるWeb2.0(中央集権型)からWeb3.0(自律分散型)社会への変革・移行期にあり、メタバースの進展がライフスタイルに新たな可能性をもたらすと予測されている。しかし、昨今の急速なメタバース市場の成長や発展の中で、国内の各種法規制やガイドラインが完全には整備されていない課題や、サイバーリスクの高まりによりメタバース関連事業者やユーザーに対する安心・安全な利用環境を提供していく必要がある。そのため、当社の持つ先進的な保険商品の開発力やリスクマネジメントのノウハウ、そして、SOMPOグループ内のアセットを十二分に活用し、より多くの事業者やユーザーに安心してデジタルツインなライフスタイルを享受できるような取り組みを推進する」としている。
 両社は提携を通じて関係性をさらに強化し、今後も高い成長性が見込まれるWeb3.0型の世界およびメタバース市場の事業展開と他企業とのアライアンスによるビジネスの共創を加速するとしている。