2022.03.07 東京海上日動 契約管理システムを刷新、クラウド移行 国内保険会社で初 SAPのパッケージ採用、API活用

東京海上日動は2月10日、契約管理システムの中核としてSAPの“SAP for Insurance”を国内保険会社として初めて導入し、また、Snowflake、Ab Initio等のクラウドでの最新データ処理技術を活用し、契約管理システムをはじめとする基幹システムをDX・データ活用を支えるシステムに刷新すると発表した。

 SAPは、ビジネスプロセス管理の分野で世界有数のソフトウエアメーカーで、ドイツのワルドルフに本部を構える多国籍企業。東京海上日動では、さまざまな環境変化に迅速に対応するための「システムの柔軟性」を確保するため、新たな契約管理システムの中核として、国内保険会社として初めて“SAP for Insurance”を導入する。開発・提供スピードの向上に加え、データ分析結果をリアルタイムで反映した商品・サービスの提供、パッケージに標準実装されたAPIの活用によるプラットフォーマー等のシステムとの素早い連携などが可能になるという。
 パッケージを最大限に活用するアプローチ“Fit to Standard”(業務に合わせパッケージをカスタマイズするのではなく、パッケージを教科書として必要最小限のカスタマイズを加えていく開発手法)の採用、“SAP HANA(R) Enterprise Cloud”(SAPの製品に最適なシステムリソース一式を運用サービス込みで提供するPaaS(Platform as a Service)型マネージドクラウドサービス)の利用、グローバルで蓄積されたSAPのベストプラクティスの活用により、短期間・低コストでの導入が可能となったとのこと。
 東京海上日動は、新たな契約管理システムでデータを徹底的に活用することで、変化する顧客のニーズに的確に対応し、顧客一人一人やマーケットの特性に合わせた商品・サービスを提供していく。顧客や社会にさらなる安心・安全を届けていくとともに、多様なパートナーとの連携により同社の競争力を強化していくとしており、2023年度下期以降、同社の中小企業向け商品「超ビジネス保険」から順次レベルアップを行う予定だ。
 同社では、これまで構築してきた保険契約の計上業務、決算業務、各種データ提供等の仕組みをシンプル化することに加え、データ活用を加速するクラウドサービス・最新技術の徹底活用として、Ab Initio、Snowflake等が提供する最新技術をクラウドサービス上で用いることにしている。それにより、システム規模の拡大に伴って増加し続けているメンテナンス等に費やす時間を低減し、創出した時間で顧客への新たな価値を提供する取り組みを加速させていく。さらに協創型次世代データ分析基盤と連携することで、社内外のさまざまなデータを利用した高度な分析を行い、得られた知見を商品・サービス・戦略立案等あらゆる場面で迅速に活用していくとしている。
 Ab Initioはデータの収集・変換・集約に加え複雑な処理を伴うデータ処理・分析を高速に実行できる高速データ処理基盤を提供するもので、旧式のテクノロジーからの自動変換機能を持ち、メンテナンスが困難になりつつあるレガシー資源を可視化・シンプル化することが可能だという。また、Snowflakeは、データへの安全かつ管理されたアクセス、理論上無制限の性能と拡張性、複数組織間におけるライブデータ共有を特徴とする“Snowflake データクラウド”を提供しており、基幹系システムとも連携した柔軟かつ迅速なデータ利活用を推進できるという。
 東京海上日動ではこれまでも業務革新プロジェクトによる商品・事務・システムの一体的な抜本改革や、よりわかりやすい説明を顧客に届けるためのタブレット端末の導入等、デジタル技術の活用による顧客サービスの高度化や社内事務の削減を図ってきた。最近では、顧客のニーズや行動様式が大きく変化してきているところから社会課題の解決を通じた新たなマーケットの創造やデータ・デジタル技術の活用による新しい価値創造等を進めている。これらの取り組みの実現を強力に推進するため、契約管理システムをパッケージを活用して刷新し、またクラウドサービスに移行することとしたもの。