2021.08.18 東京海上HD 21年度第1四半期決算 修正純利益1672億円、進捗率は39%

東京海上ホールディングスが8月6日に発表した2021年度第1四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比2.9%増の1兆4554億円となった。正味収入保険料は国内外ともに好調で、同5.0%増収の9653億円(除く為替)だった。連結経常利益は同55.1%増の2168億円。親会社株主に帰属する四半期純利益は同61.0%増の1597億円となった。修正純利益は同233億円増益の1672億円で、通期予想対比進捗率は39.4%と好調に推移。

 グループの修正純利益は、連結当期純利益に異常危険準備金繰入額、危険準備金繰入額、価格変動準備金繰入額、のれんその他無形固定資産償却額を加え、ALM債券・金利スワップ取引に関する売却・評価損益、事業投資に係る株式・固定資産に関する売却損益・評価損、その他特別損益評価性引当等を差し引いたものだったが、当期から透明性や比較可能性向上の観点から定義を一部変更、自然災害責任準備金繰入額と初年度収支残の影響額を加えるようになった。増益233億円の内訳は、東京海上日動で59億円減、東京海上日動あんしん生命で10億円増、海外保険で396億円増、その他で20億円増となり、海外が計画を上回ったことに加え国内生損保も堅調に推移し、計画を上回る成績となった。

 グループの正味収入保険料の内訳は、国内損保が前年同期比3.7%増(通期予想は0.0%)の6395億円。コロナの反動に加えて、火災や自動車における商品・料率改定効果等が寄与した。海外事業は同7.7%増(除く為替、通期予想は6.0%増)の3260億円で、ロスコストを意識した計画を上回る堅調なレートアップなどが奏功した。生命保険料は、国内は事業保険の解約の一方で堅調な販売拡大等が後押し同0.4%増(通期予想は7.8%減)、海外はTokio Marine HCC(TMHCC)のメディカルストップロス保険やデルファイ・ファイナンシャル・グループ(デルファイ)の長期/短期の就業不能補償保険で計画を上回るレートアップや引受拡大等を実現したことにより同4.8%増(除く為替、通期予想は0.3%減)となった。
 国内損保事業で、東京海上日動の事業別利益は前年同期比59億円減の838億円だった。通期予想対比進捗率は60.3%となる。大口事故が少なかったことや、自動車の損害率が良好であることなどにより、順調に推移した。
 保険引受利益は前年同期比で179億円増加し926億円だった。発生保険金のうち自然災害・外貨建支払備金積増/積減、異常危険準備金積増/積減、自然災害責任準備金積増/積減、初年度収支残負担を除いたベースの保険引受利益は、同296億円減の721億円で、第1四半期進捗率は37.5%(過去5年平均32.6%)と順調に推移している。
 正味収入保険料は、同3.9%増の5931億円と前年同期実績を上回った。家計地震・自賠責を除いた民保合計では同5.5%増の5379億円。種目別では、火災は21年1月の料率改定効果や企業火災の大口契約、受再保険の増加等により同14.1%増の850億円。海上はコロナ影響(物流減等)の反動や営業施策の実行による増収等により同18.9%増の215億円。傷害はコロナ影響(外出自粛等)の反動により同5.5%増の571億円。自動車は20年1月の商品・料率改定効果や21年4月の商品改定効果、契約台数の増加(0.7%増)等により同2.2%増の2825億円。自賠責は20年4月の料率引下げの影響等があるものの通期予想に対して順調に推移し同9.8%減の550億円。その他は賠償責任保険や動産総合保険における増収等により同6.1%増の917億円だった。
 発生保険金(損害調査費含む)は、前年同期比では自然災害が少なかったものの、コロナ影響の反動等により増加し、同15.5%増の2578億円。E/I損害率は既経過保険料の増加と発生保険金が想定内にとどまったことにより同5.5ポイント上昇の51.7%。事業費率は同0.1ポイント低下し31.3%。コンバインド・レシオ(民保E/Iベース)は同5.5ポイント上昇し83.0%だった。
 資産運用等損益は、ネット利息及び配当金収入、売却損益等計(キャピタル)が順調に進捗し、同149億円増益の834億円。
 経常利益は同327億円増の1785億円、四半期純利益は同310億円増の1410億円、単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比37.7ポイント上昇し863.6%となった。
 日新火災の正味収入保険料は前年同期比1.1%増の375億円。保険引受利益は同27億円増益の73億円だった。経常利益は同42億円増益の89億円、四半期純利益は同27億円増益の60億円となった。
 国内生保事業の東京海上日動あんしん生命の新契約年換算保険料は、保障性商品や回払変額保険の販売が想定通りに推移し前年同期比71.5%増の113億円となり、前年のコロナ影響からの回復を含め通期予想に対して順調に進捗している。保有契約年換算保険料は前年度末比0.6%減の8151億円となった。四半期純利益は前年同期比16億円増益の101億円。経常利益は同5億円増益の124億円となった。基礎利益は同9億円減益の132億円。単体ソルベンシー.マージン比率は、前年度末比73.6ポイント上昇し、1503.7%となった。
 海外保険事業の正味収入保険料は、前年同期比9.5%増の4629億円だった。為替の影響を除くと同6.1%の増収。このうち北米は同10.4%増の3210億円、欧州は同9.9%増の301億円、中南米は同0.9%増の274億円、アジア・オセアニアは同9.1%増の499億円、中東・アフリカは同6.6%増の85億円だった。
 事業別利益は、コロナ影響の反動(プラス約350億円、うち保険引受が約50億円、資産運用が約300億円)により、同212.7%増益の582億円となった。テキサス州寒波により自然災害が見込みを上回った(▲73億円)ものの、それを除けば保険引受も資産運用も好調で、第1四半期進捗率は34.9%(過去5年平均23.8%)と計画を大幅に上回って進捗している。北米主要拠点の第1四半期実績は計画対比でプラス約100億円で、上半期ではさらに上振れる見込みとしている。
 21年度のグループの通期業績予想については、経常利益が前期比65%増の4400億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同94.7%増の3150億円、1株当たり当期純利益が454.30円、修正純利益が4240億円と見込む。