2021.07.14 住友生命 21年定時総代会開催「人」と「デジタル」で顧客支える

 住友生命は7月2日、大阪市のホテルニューオータニ大阪で「2021年定時総代会」を開催した。高田幸徳社長が20年度決算概要や「スミセイ中期経営計画2022」の進捗状況、21年度の取り組み方針などについて説明した他、決議事項として20年度剰余金処分案承認の件など5議案を審議し、全て承認された。高田社長は、20年度からスタートした3カ年計画「スミセイ中期経営計画2022」について、21年度は「人」と「デジタル」で顧客を支え「Well―being」に貢献することで「なくてはならない」生命保険会社を目指すとし、“住友生命「Vitality」”の推進で健康長寿社会に貢献すると同時にワークライフバランスを推進すると述べた。

 総代会で高田社長はまず、20年度の取り組みを説明。新型コロナウイルス感染症への対応については、訪問活動自粛や保険料払込猶予期間の延長、医療機関以外の療養での入院給付金の支払いの他、従業員に対して在宅勤務や時差出勤、営業職員の給与保障などの取り組みを進めたとした。
 20年度が初年度となった「スミセイ中期経営計画2022」については、SDGs達成に向けた取り組みを進めて「社会に貢献する」、顧客に寄り添った行動と働き方改革を通じて「社会に信頼される」、将来を見据えた企業体質の変革を通じて「社会の変化に適応する」という基本方針の下、各事業の取り組みを進めたと振り返った。
 その中でも、「社会に貢献する」については、健康増進型保険“住友生命「Vitality」”の推進による健康寿命の延伸を図ることに加え、人生100年時代を見据えたサービス・情報提供で健康長寿社会に貢献することを中心に、ESGを重視した事業活動を通じて、SDGs達成に向けた取り組みを進めた。
 また、個人保険分野では、変化する社会環境や多様化する顧客ニーズに対応しながら、営業職員や金融機関代理店、保険ショップによるマルチチャネルでの保険販売・サービスの提供に取り組んだとした。
 20年度の業績については、個人保険・個人年金の新契約年換算保険料は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う訪問活動自粛の影響により、前年度比13.5%減の949億円、解約・失効契約の年換算保険料が同17.9%減の614億円となった。保有契約全体の年換算保険料は、前年度末比0.7%減の2兆2866億円となった。
 また、顧客満足度を測る指標として重視している保険契約の継続率については、13月目継続率が前年度末比1.5ポイント増加して96.9%、25月目継続率が同3.1ポイント減少し90.1%となった。
 収入面では、保険料等収入が前年度比1.6%減の2兆1877億円、資産運用収益が同10.3%増の8160億円となった。支出面では、保険金等支払金が同7.4%減の1兆7460億円、資産運用費用が同49.0%減の1370億円、事業費が同3.1%増の3300億円となった。この結果、経常利益は同63.6%増の1556億円で、これに特別損益を加えた当期純剰余は、同10.9%増の547億円となった。
 基礎利益は前年度比6.4%減の3476億円、総資産については、前年度末比7.4%増の35兆4007億円となった。ソルベンシー・マージン比率は、同33.1ポイント減の840.5%となったが、引き続き十分な水準を確保していると説明した。
21年度の取り組み方針については、新型コロナウイルス感染症の対応を継続しながら、非接触での顧客接点の拡充や働き方改革のさらなる推進、顧客接点業務へのシフトなど、各事業分野の取り組みを着実に推進し、「人」と「デジタル」で顧客を支え「Well―being」に貢献することで、「なくてはならない」生命保険会社の実現を目指すとした。
その実現に向けた経営指針として、①信用・信頼構築のための「住友生命グループ行動規範」の浸透②人財共育による人の価値向上とデジタル価値の融合による提供価値の深化③新たなマーケットや取り組みへの挑戦④SDGs達成への貢献やサステナブルなグループ経営体制の構築やスミセイブランド戦略2.0の進化―の四つを挙げた。 具体的には、“住友生命「Vitality」”の浸透や人生100年時代を見据えたサービスと情報の提供を通じて健康長寿社会に貢献すると同時に、生産性向上やチーム・個人のパフォーマンス最大化に向けてワークライフバランスを推進する。この他、責任ある機関投資家として責任投資をより推進し、事業サステナビリティの強化に注力するとした。
また、全ての取り組みの前提となる「住友生命グループ行動規範」を「浸透」から「実践」に段階を移し、誰もが発言しやすい環境整備を通じて、顧客本位の業務運営を推進する。さらに、職員一人一人の能力のさらなる向上を目的とした人財共育の推進に加え、円滑なコミュニケーションを図ることで「働きがい」を高め、パフォーマンスを向上させる働き方改革の深化に取り組むとした。 
さらに、「営業職員サポート」や「顧客サービスへのシフト」を進めるための支社マネジメント改革を進めるとともに、個人保険分野と企業保険分野の情報連携をすることで、より地域に密着した価値提供に取り組む。
この他、顧客の声を継続的に収集しながらデジタルツールを活用することで、顧客の意向に沿ったアフターサービスを実施すると同時に、各種手続きや通知のデジタル化を進めることで、「人ならでは」の価値にデジタルを融合したサービスを提供していくと説明した。