2020.02.28 ■生保協会 定例会見、外貨建保険販売資格試験創設、今年の10月から試験開始[2020年2月21日]

 生保協会の清水博協会長は2月21日に行われた日銀記者クラブの定例会見で外貨建保険の苦情の対応状況を説明し、併せて、外貨建保険販売資格試験の創設を発表した。外貨建保険の販売に必要な業務知識や苦情縮減に資するコンプライアンス・リテラシー等の向上を目的とする同試験は、今年10月に試験開始、2022年中の販売資格登録制の開始を目指すという。【本日付2面に関連記事】

 まず19年度第2四半期の外貨建保険の苦情の状況について報告した清水協会長は、第1四半期には前期比14%減となった苦情が、第2四半期では前期比22%増の744件となり、前年同期に比べても8%増となったと説明した。苦情原因は「説明不十分」が約7割を占め、特に80歳以上の契約者では、本人以外(親族等)からの苦情占率の高さが目立つ結果となった。清水協会長は「生保協会では18年度にガイドラインを改正し、高齢者に対しては親族の同席を原則とするなど、取り組みを強化してきたが、今回の状況を踏まえ、一層の定着に向けた取り組みを進める」と語った。
 また、2月20日に国民生活センターから注意喚起文書が公表され、募集代理店や募集人等への指導教育を徹底し、より一層の法令順守に努めるよう要望があったことにも触れ、「苦情が増加傾向にあることや、こういった要望が出されていることを真摯(しんし)に受け止め、あらためて業界の最重要課題の一つとして、一層のスピード感を持って対応に取り組んでいく」との考えを示した。
 続いて、募集人教育の向上に向けて、教育の標準化と試験の創設について報告した。教育の標準化については、業界の共通カリキュラムを導入する方針で、為替などの知識面だけでなく、提案時に気を付けるべきポイントや、苦情が発生しやすいポイントなど、外貨建保険の販売に必要な業務知識に加えて、苦情縮減に資するコンプライアンス・リテラシーの向上につながる内容が盛り込まれるという。
 試験は今年10月に開始し、2022年度中の資格登録制の開始を目指す方針だ。
 この他、質疑応答の中で、新型コロナウイルスの業界内への影響について記者から質問を受けた清水協会長は、同協会としても2月21日付で対策本部を設置し、今後の感染状況に機動的に対応する体制を整えたと説明。感染の拡大が進んだ場合に協会として取るべき対応や体制について確認しているところだとした。
 また、同氏が社長を務める日本生命については、すでに対策本部を設置し、職員の感染予防を徹底することに加え、業務への影響についてもBCPの観点から検討を行っていると述べ、現時点では業務遂行に問題のある状況ではないものの、刻一刻と変化する情勢に適宜対応していきたいと語った。
 3月から始まる新卒採用情報の公開や、エントリー受付についても対応を問われると、学生への影響を最小限に抑えることも重要との認識を示し、同社では感染拡大の防止を目的にインターンの開催を中止したものの、ウェブによる会社の概要説明やパネルディスカッションの配信など、採用活動に関する具体的な施策を考えていきたいと回答した。