2019.05.27 SOMPOHD 19年3月期決算、連結経常利益 570億円増

 SOMPOホールディングスが5月20日に発表した2019年3月期決算によると、連結経常収益は前期比3.4%減の3兆6430億円で、このうち正味収入保険料は同4.8%減の2兆7181億円、生命保険料は同0.8%増の3496億円だった。今期は国内自然災害の影響を異常危険準備金の取崩し益や資産運用粗利益の増益などでカバーするとともに、17年度の北米ハリケーン影響の剥落もあり、連結経常利益は1989億円と同570億円の増益を果たした。連結純利益は、SI(Sompoインターナショナル)の組織再編に伴う税金費用減少等の影響から、1466億円と68億円の増益となった。

 国内損保事業のうち損保ジャパン日本興亜は、自然災害影響を除いたコア保険引受利益が新種保険の良好な損害率を主因に堅調だったものの、異常危険準備金800億円の特別繰入を実施したことから、保険引受利益は同528億円減の419億円だった。
 正味収入保険料は同0.9%減の2兆1486億円だった。種目別では、火災は海外受再契約をSIへ移管したことなどを主因に同5.9%減の2650億円、海上が同6.5%減の443億円、傷害は主に一部商品をその他種目へ移管した影響により同5.1%減の1707億円。自動車は18年1月の料率改定(自動車保険全体で▲1.7%)影響を19年1月の商品改定でカバーし、1兆731億円と同0.5%の減収だったものの、直近では増収トレンドとなっている。その他は中小企業向けパッケージ商品や賠償責任保険の販売が好調で同9.7%増の3172億円(うち賠償責任は同7.5%増の1692億円)と前年度実績を上回った。
 正味支払保険金は同8.3%増の1兆3777億円。自賠責と家計地震を除いた正味損害率は、平年を上回る国内自然災害に加え、大口事故の支払いが進み、同6.1ポイント上昇の68.0%だった。E/I損害率(自賠責・家計地震を除く)は67.2%と同5.5ポイント上昇したものの、国内自然災害影響を除くと0.4ポイントの改善。正味事業費率(自賠責・家計地震を除く)は、社費・代理店手数料ともに減少し、同0.4ポイント減少の33.6%。自賠責と家計地震を除いたコンバインド・レシオは、同5.7ポイント上昇の101.6%だった。
 資産運用損益では、有価証券売却益増加とSIからの配当を主因に、資産運用粗利益は919億円増益の1898億円。18年度の政策株式削減は1580億円となり、計画(1000億円前後)を大幅に超過した。
 経常利益は、自然災害影響を政策株式売却益でカバーし、同403億円増益の2155億円。当期純利益は、17年度のSIの組織再編に伴う税金費用減少等の影響から、同56億円増益の1757億円。ソルベンシー・マージン比率は前年度末比12.9ポイント低下して722.2%となった。
 国内生保事業で、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命は、新契約高(個人保険)が前期比186.0%増の4兆2443億円、新契約年換算保険料は同3.4%増の370億円だった。保有契約高(個人保険と個人年金保険)は、新商品の収入保障保険が好調で、同1兆1852億円増の23兆3109億円。保有契約年換算保険料は同81億円増(うち保障性商品は65億円増)の3785億円だった。当期純利益は、保有契約の拡大や責任準備金繰入負担の減少などにより、同89.6%増の153億円と大幅な増益となった。
 保険料等収入は同1.4%増の4444億円、経常利益は同59.0%増の265億円、基礎利益は278億円で同58.3%の増益となった。ソルベンシー・マージン比率は1507.5%で、前年度末比5.6ポイント低下した。
 介護・ヘルスケア事業等では、入居率は引き続き改善し、修正利益は前期比11億円増益の52億円となった。
 海外保険事業の収入保険料は同1175億円減の5276億円。修正利益は同109億円減益の330億円となった。
 地域別では、欧米の収入保険料はSompoキャノピアスの貢献剥落を主因に同877億円減の3684億円。アジア・中東が同111億円減の795億円、中南米は同187億円減の796億円だった。修正利益は、欧米は組織再編に伴う税金費用減少等の影響から同111億円減の197億円、アジア・中東が同1億円減の110億円、中南米が23億円と同3億円の増益となった。
 19年度の通期連結業績予想は、消費増税などはあるものの、各事業のオーガニック成長に加え、国内外自然災害の平常化などにより、連結経常利益は前年度比510億円増益の2500億円、連結純利益は同213億円増益の1680億円と、ともに過去最高益を見込む。また、株主還元の原資となる修正連結利益は、同714億円増益の1850億円の見通し。
 このうち損保ジャパン日本興亜は、消費増税などの一方で、異常危険準備金特別繰入影響の剥落や、商品改定による収益性の向上などにより、保険引受利益は同560億円増益の980億円を予想。政策株式は1000億円程度の削減を継続し、有価証券売却益の減少により資産運用粗利益は466億円の減益を見込む。これらの結果、経常利益は同104億円増益の2260億円、当期純利益は18年度の特殊要因の影響もあり、127億円減益の1630億円を計画している。
 損保ジャパン日本興亜ひまわり生命は、2%台での保険料等収入拡大を背景に、経常利益・当期純利益とも増益、海外保険事業は自然災害影響の平常化とSIにおける元受中心としたオーガニック成長を実現することなどにより、当期純利益は644億円増益の583億円を見込む。