2019.01.09 損保協会定例会見 19年度税制改正要望結果報告 火災保険等に係る特例積立率6%に

 損保協会は2018年12月21日、業界紙向けの定例記者会見を行い、2019年度税制改正要望の結果について説明した。要望した全10項目のうち、重点要望項目の「火災保険等に係る異常危険準備金制度の充実」、その他要望項目の「国際課税ルールの改定における対応」など4項目が実現し、「破綻保険会社から協定銀行への資産移転に係る不動産取得税の非課税措置の恒久化」に関する項目は一部実現したことを報告した。「損害保険に係る消費税制上の課題解決に向けて」などの5項目は見送られた。

 19年度税制改正要望の重点項目「火災保険等に係る異常危険準備金制度の充実」では、①積立率を現行の5%から6%に引き上げること②洗替保証率を現行の30%から40%に引き上げること―を要望した。18年12月14日に「与党税制改正大綱」が決定され、①については、火災保険などに係る特例積立率を6%に引き上げた上、その適用期限を3年延長する。一方、②は40%への引き上げは見送られたものの、現行の30%は継続する。
 「国際課税ルールの改定における対応」では、①米国税制改正などの影響を踏まえ、外国子会社合算税制において、損害保険ビジネスの実態を踏まえた、所要の手当てを行うこと②過大支払利子税制や国境を越えた役務の提供に係る消費課税の在り方など、その他の国際課税ルールの見直しが行われる場合には、正当な経済活動を行う日本の損害保険会社の国際競争力が阻害されることがないよう、十分に留意すること―の2点を要望。いずれも、損害保険ビジネスの実態を踏まえた手当てを行うことについて、おおむね阻害される要因が組み込まれることなく、見直しが行われる。
 「損害保険業に係る法人事業税の現行課税方式の継続」に関しては、現在、電気供給業、ガス供給業、保険業については収入金額による外形標準課税が行われており、現行課税方式の継続が実現した。
 また、「レポ取引に係る利子課税の特例措置の延長および対象債券の拡大」は、特定外国法人が特定金融機関などとの間で行う債券現先取引に係る利子などの非課税措置について、特例措置の延長と対象債券の拡大を講じた上で、その適用期限を2年延長する。
 「破綻保険会社から協定銀行への資産移転に係る不動産取得税の非課税措置の恒久化」については要望が一部実現し、非課税措置の適用期限を2年延長する。
 定例会見では、第25回保険監督者国際機構(IAIS)年次会合への参加について報告。今回の会合では、金融危機後に注力してきた国際基準の策定活動を20年をめどに一段落させ、活動の軸足を、各国における国際基準の実施状況の評価と実施支援に移していく考えが示されたことを明らかにした。また、気候変動やサイバーセキュリティー、フィンテックなどの新たな課題について、監督者間、監督者とステークホルダー(保険業界関係者)間の議論や経験を共有する活動に注力する方向性が強調されたことを説明した。
 この他、同協会の「行動規範」の改定、SDGs特設ページの開設、第15回ぼうさい探検隊マップコンクール入選作品の決定などについて報告した。