2018.12.12 生保協会 スチュワードシップ活動の概要発表 集団的エンゲージメント実施へ 上場企業107社(延べ112社)対象

 生命保険協会は11月30日、生保会社が機関投資家として投資先企業との対話を協働して行う集団的エンゲージメントの実施を決定、その取り組みの概要を発表した。集団的エンゲージメントについては、試験的な施策として、本年2月に東証1部上場企業のうち、株主還元やガバナンス、情報開示に関する取り組みの面で不十分とみられる企業52社に対して連名の書簡で課題意識を伝え、さらに4月には情報開示を求める書簡を42社に送付してきていた。

 生保協会では、株式市場の活性化と社会の持続的発展に貢献するため、「スチュワードシップ活動ワーキング・グループ」と「ESG投融資推進ワーキング・グループ」を設置し活動を推進している。本年度は企業・投資家へのアンケートに基づく「提言レポート」の作成、「集団的エンゲージメント」の実施、「ESG投融資ガイドライン」の策定を活動の柱として取り組んでいる。
 この中で、本年度の集団的エンゲージメントは、「ESG情報の開示充実」と「株主還元の充実」をテーマとして、上場企業107社(延べ112社)を対象に実施する。対象企業に対しては、スチュワードシップ活動ワーキング・グループに参加する生命保険会社10社の連名で、課題意識を伝える書簡を送付する。加えて、本年度より対象企業との対話等を通じて、課題意識を具体的に説明することで、集団的エンゲージメントのさらなる実効性向上を図るとしている。
 対象企業112社の内訳は、「ESG情報の開示充実」の対象が上場企業64社、「株主還元の充実」の対象が同じく48社となっている。それぞれの選定基準の概要は、「ESG情報の開示充実」については、「国内上場株式市場の時価総額の上位300社のうち、総合的な開示の充実により、企業価値向上が期待できる企業」とされ、「株主還元の充実」については、「財務内容が健全であり、営業キャッシュフローに対する投資キャッシュフローの比率が低く、かつ長期にわたり配当性向が30%未満である企業」とされている。
 集団的エンゲージメントに参加する生保会社10社は、以下の通り。
 ▽朝日生命▽かんぽ生命▽住友生命▽第一生命▽大同生命▽日本生命▽富国生命▽三井生命▽明治安田生命(この他、第一フロンティア生命がESG投融資推進WGにのみ参加している)
 なお、ESG投融資ガイドラインについては2019年2月、企業・投資家向けアンケートに基づく提言等を取りまとめた提言レポートについては19年4月をめどに、それぞれ公表する予定。