2018.12.07 金融庁 犯罪による収益の移転防止に関する法律 施行規則の一部改正を公表 オンラインでの本人確認方法追加

 金融庁は11月30日、「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令」を公表した。今回の改正により、①オンラインで完結する自然人の本人特定事項の確認方法の追加②非対面取引時の郵便により行う自然人の本人特定事項の確認方法の改正③法人の本人特定事項の確認方法の追加―等が実施される。本改正で実現することとなった「オンラインで完結する自然人の本人特定事項の確認方法の追加」は、同庁が「変革期における金融サービスの向上にむけて~金融行政のこれまでの実践と今後の方針~(平成30事務年度)」で掲げた、「金融デジタライゼーション戦略の11の施策」の中で位置付けた取り組みの一つとなっていた。

 今回の改正の概要は次の通り。
 (1)オンラインで完結する自然人の本人特定事項の確認方法の追加
 自然人の本人特定事項の確認方法に、以下の方法が追加される。
 ①顧客から写真付き本人確認書類の画像と本人の容貌の画像の送信を受ける方法(6条1項1号ホ)
 ※インターネット上のビデオ通話機能を利用した方法も可
 ②顧客から写真付き本人確認書類のICチップ情報と本人の容貌の画像の送信を受ける方法(6条1項1号へ)
 ③顧客から一枚に限り発行される本人確認書類の画像又はICチップ情報の送信を受けるとともに、銀行等の預貯金取扱金融機関又はクレジットカード会社に当該顧客の本人特定事項を確認済であることを確認する方法(6条1項1号ト(1))
 ④顧客から一枚に限り発行される本人確認書類の画像又はICチップ情報の送信を受けるとともに、当該顧客の預貯金口座(銀行等において本人特定事項を確認済であるもの)に金銭を振り込み、当該顧客から当該振込を特定するために必要な事項が記載されたインターネットバンキング画面の画像等の送付を受ける方法(6条1項1号ト(2))
 (2)非対面取引時の郵便により行う自然人の本人特定事項の確認方法の改正
 なりすましによる不正事例を防止するため、顧客から本人確認書類の送付を受け顧客宛に書留郵便物等により転送不要郵便等として送付する確認方法に関する改正や、本人限定受取郵便に用いることのできる本人確認書類(顔写真付きのものに限られる)に関する改正が行われる。(6条1項1号チ~ル)
 (3)法人の本人特定事項の確認方法の追加
 顧客から法人の名称及び本店等の所在地の申告を受け、かつ、登記情報提供サービスから登記情報の送信を受けたり、国税庁法人番号サイトで公表されている情報を確認する方法が追加される。(6条1項3号ロ、ハ)
 ※一部の場合を除き、本店等に書留郵便等により転送不要郵便物等を送付する必要がある。
 (4)法令の規定に基づき、顧客財産の分別管理を目的とする信託取引を、簡素な顧客管理が許容される取引に追加(4条1項1号)
 その他、所要の改正を行う。
 施行期日は(1)(3)(4)は公布日、(2)は2020年4月1日。