2018.11.16 ライフネット生命 新たな経営方針策定、顧客体験の革新と販売力強化

 ライフネット生命は11月12日、新たな経営方針を発表した。開業10年を迎え、今後も着実な成長を続けるために、2018年6月の経営体制の変更に伴い策定したもの。新経営方針では、「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスを提供することで、お客さま一人ひとりの生き方を応援する」との経営理念の下、デジタルテクノロジーを活用し、全てのサービスを質的に高め進化させる「顧客体験の革新」と、積極的プロモーションと代理店・ホワイトレーベルの拡大により、圧倒的な集客を実現する「販売力の強化」を重点領域に掲げ、オンライン生保市場の拡大を力強くけん引するリーディングカンパニーを目指す。また、新たな経営目標では、EEV(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー)を企業価値を表す重要な経営指標とし、早期の1000億円到達を目指す。

 同社では、2008年5月の開業から10年間の取り組みと、現行中期計画期間の新契約業績の反転を振り返り、経営理念を実現するためには、“お客さまが求めるものを、変化するお客さまの生活スタイルに合わせて提供すること”、さらにその提供価値を積極的に訴求していくことが重要であると認識している。
 生命保険文化センター『平成30年度生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉』によると、生命保険の加入経路について、インターネットを通じた加入は市場の約3%にとどまる一方、今後の加入意向は上昇傾向にあり、直近では約12%に達している。また、隣接する損害保険業界におけるダイレクト自動車保険は、立ち上がりから順調に成長を続け、直近の市場シェアは約8%といわれている。
 このことから、同社では、オンライン生保市場の成長余地は確実に存在しており、現在は顧客のニーズに十分応えられていない状況であると考えている。
 これらの認識に基づき、同社は今後、「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスを提供することで、お客さま一人ひとりの生き方を応援する」を新たな経営理念とし、次の取り組みを通じて、オンライン生保市場の拡大を力強くけん引するとしている。
 ▽顧客体験の革新
 開業以来、スマートフォン申し込みや、各種手続きのペーパーレス化、SNSを通じた保険相談など、先進的な取り組みを行うことで高い顧客利便性を実現。今後は、より一層デジタルテクノロジーを活用し、時代の変化に合わせて全てのサービスの質を高め続けることで、常に新しい保険の顧客体験を提供していく。
 ▽販売力の強化
 直近の取り組みにおいて、商品やサービスの質を高めた上で、より多くの顧客に利用してもらうために販売力を強化した。今後も、積極的に営業費用を投下することで、力強く訴求を行うとともに、代理店やホワイトレーベルを通じたオンラインでの販売を拡大し、圧倒的な集客を実現していく。
 また、経営目標については、これまで同社は中期計画の経営目標として経常収益および経常損益を掲げてきた。しかし、現行の法定会計では、新契約の獲得にかかる費用を初年度に集中的に計上する一方、収益となる保険料は長期にわたって計上するため、保有契約における新契約の割合が大きい同社では、長期の収益性を適切に表すことができない。
 このため同社は、EEVを企業価値を表す重要な経営指標と捉え、早期の1000億円到達を目指す。また、保有契約から生じる利益を示す指標として、当期の営業費用を新契約獲得の費用として経常損益から除いた修正利益を開示する。
 同社は、戦後初の独立系生命保険会社として開業して以来、「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスの提供を追求する」という経営理念の下、インターネットを主な販売チャネルとして、高い価格競争力と24時間いつでも申し込み可能な利便性を実現してきた。この結果、着実に成長を続け、18年9月に保有契約件数は28万件を突破し、10月には過去最高の新契約業績となった。