2018.10.11 SOMPOグループ 中国での協業展開 日系調査会社と環境コンサル インシュアテック大手と提携

 SOMPOホールディングスと損保ジャパン日本興亜は9月25日、中国での新たな協業と提携を発表した。SOMPOHDのグループ会社、日本財産保険(中国)有限公司(SOMPO中国)は9月から、日本の大手環境調査会社エンバイオ・ホールディングスのグループ会社である恩拜欧(南京)環保科技有限公司(エンバイオ中国)と提携し、企業向け環境対策コンサルティングサービスの無償提供を開始。損保ジャパン日本興亜は、インシュアテック大手の衆安科技(国際)集団有限会社(衆安国際)と、保険ビジネスとテクノロジー分野での業務提携で合意した。衆安国際は、中国最大手のオンライン専門保険会社である衆安在線財産保険股フン(にんべんに分)有限公司(衆安保険)の子会社。今後、両社で日本市場に適したビジネスモデルを検討し、2019年度上半期をめどに第1弾の保険商品・サービスの提供を目指す。

 SOMPOグループは近年、現地グループ会社を通じて中国向け商品やサービスの提供を活発化させている。16年8月、日本興亜財産保険(中国)有限責任公司を通じて、「健康診断医療保険」の販売を開始。17年には、衆安保険と提携して訪日旅行者向け海外旅行保険を共同開発し、同年6月に衆安保険を通じて発売した。今年8月には、SOMPO中国が同国の保険会社として初めて、BCPの実効性を高める「図上訓練サービス」の無償提供を開始している。
 今回、SOMPO中国が無償提供を開始した企業向け環境対策コンサルティングサービスは同社の取引企業全業種が対象。廃水・排気・固体廃棄物・騒音などの対策状況のヒアリングと現場調査を通じて、企業の問題点を洗い出し、改善策を報告書にまとめて無償で提案する。中国では15年の改正環境保護法の施行を契機に、環境保護意識が高まり、環境関連の規制が急速に強化されている。規制対象は大気・水質・土壌・固形廃棄物・騒音など多岐にわたるため、日系企業でもこの変化に対応し切れず、制裁金や操業停止命令を受ける事例が相次ぐなど、多くの企業が対応方針の策定に苦慮しているのが現状だ。
 SOMPO中国ではそれら企業を支援するため、環境対策事業で豊富な経験を持つエンバイオ中国と提携。中国環境法制上の必要な対策を提案するコンサルティングサービスの提供を開始することとした。
 一方、損保ジャパン日本興亜と提携する衆安国際は昨年12月、ノウハウやテクノロジーのオープン化を通じた海外市場への展開を加速させるため、衆安保険の戦略子会社として香港に設立された。衆安保険は中国を代表するIT企業のアリババやテンセントなどの出資で、13年10月から事業を開始した同国初のネット専業保険会社。顧客志向かつデジタル技術を駆使したオンライン商品を開発・販売し、4年で香港証券取引所での上場を果たした世界最大手のインシュアテック企業で、ビッグデータ解析やAIなどの最新テクノロジーを活用した先進的なビジネスモデルを実現。ライフスタイル消費や旅行、消費者金融、健康、自動車の五つの主要なカテゴリーで、多くのパートナー企業とソリューションを提供し、飛躍的な成長を遂げている。
 提携により、衆安国際は衆安保険のこれまでのノウハウやテクノロジーを結集させた保険会社向けIT保険プラットフォームシステムを損保ジャパン日本興亜に提供し、日本市場向けのカスタマイズや活用のサポートを行う。また、損保ジャパン日本興亜は、衆安国際の日本での展開を支援するとともに、衆安保険が中国のデジタル市場で培ったノウハウやテクノロジーの提供を受け、新たな顧客体験や価値創造を行い、Eコマースやシェアリングサービスを運営するプラットフォーム事業者などとのアライアンスを推進していく。
 今後、損保ジャパン日本興亜と衆安国際は、相互に日本市場での成長を目指すとともに、デジタルトランスフォーメーションに積極的に取り組んでいく考え。併せて、衆安国際は、日本国内の保険会社やパートナー企業との連携を図り、日本市場のデジタル化を支援していくことを予定している。