2018.08.16 東京海上HD 18年度第1四半期決算 海外事業堅調で増収維持

東京海上ホールディングスが8月10日に発表した2018年度第1四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比0.1%減の1兆3975億円となった。正味収入保険料は円高進行の影響があるものの、海外保険会社での増収により、同0.2%増の9208億円。生保では、生命保険料が海外保険会社の事業拡大や東京海上日動あんしん生命の保有契約の拡大等により、同7.6%増収し、2357億円だった。経常利益は同11.7%増の1380億円となった。親会社に帰属する四半期純利益は、国内における有価証券売却益の増加や海外での利益拡大等により、同15.5%増の1017億円だった。なお、平成30年7月豪雨(西日本豪雨)の影響は第1四半期決算に含まれていない。

 東京海上日動の業績で、保険引受利益は同86億円減益の258億円だった。正味収入保険料がその他種目を中心に自賠責を除く種目で増収した一方、自然災害に係る発生保険金の増加、期初からの円安進行に伴う外貨建支払準備金積増負担の増加、正味収入保険料の増収に伴う代理店手数料の増加などが主な要因となった。
 正味収入保険料は同0.1%減の5512億円。種目別に見ると、火災は家計分野で契約件数が増加して同2.2%増の649億円、海上は貨物保険での大口契約の増収のため同7.9%増の161億円、傷害も販売拡大等により同2.9%増の576億円。契約件数が増加した自動車は同0.4%増で2705億円の成績を挙げた。その他は超ビジネス保険・業務災害総合保険の販売拡大等により増収し、同4%増の809億円となった。自賠責は17年4月の料率引き下げを主因に同12.7%減収して609億円。家計地震・自賠責を除いた民保合計では、同1.8%増の4899億円だった。
 正味支払保険金は同3.7%増の2932億円、民保E/Iベースの正味損害率は同0.7ポイント上昇して56.4%、正味事業費率(民保ベース)は同横ばいの32%となった。コンバインド・レシオ(民保ベース)は同0.7ポイント上昇して88.4%だった。
 資産運用等損益は、同350億円減益の741億円だった。このうち、ネット利息及び配当金収入は外国株式配当金が海外子会社からの配当金収入が減少したことを主因に同415億円減益の417億円。政策株式売却に伴う売却益は同140億円増の440億円(売却額570億円)となった。
 経常利益は同29.5%減益の1015億円だった。四半期純利益は保険引受利益の減少や海外子会社からの配当金収入の減少等により減益し、同35.5%減の775億円。単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比18.6ポイント上昇し845.9%となった。
 日新火災の保険引受利益は、前年同期比17億円増益の38億円となった。火災・新種保険の販売拡大による正味収入保険料の増収があった他、自動車保険で発生保険金が減少するとともに、傷害保険で大口事故が減少するなどしたことによる。
 資産運用等損益は、前年同期とほぼ横ばいの3億円だった。
 経常利益は同94.5%増の37億円、四半期純利益は保険引受利益・資産運用等損益の増益により、同108.6%増の28億円となった。単体ソルベンシー・マージン比率は前年度末比7.1ポイント上昇の1328.3%。
 東京海上日動あんしん生命の新契約年換算保険料は、前年8月の法人向け商品の料率改定に伴う契約増加の反動等により、前年同期比4.5%減収し、203億円となった。保有契約年換算保険料は、新契約の順調な積み上がりにより、同2.4%増収し、8511億円だった。
 四半期純利益は、標準利率引き下げに伴う料率改定前の契約増加で、責任準備金の積み増しが前期に一部発生した反動等により、同80.9%増の45億円、基礎利益は経常利益から外債の売却に伴うキャピタル損益へのマイナス影響や危険準備金の繰り入れ等を控除した結果、同20億円増の91億となった。単体ソルベンシー・マージン比率は、前年度末比166.4ポイント低下し、2181.7%となった。
 海外保険会社の保険料(正味収入保険料と生命保険料の合算)は、各事業の成長施策の実行等により、前年同期比3%増収し、4511億円となった。
 地域別に見ると、北米は同2%増の2597億円。フィラデルフィアが更新契約の料率引き上げを主因に現地通貨ベースでは増収したものの、円高進行の影響で減収。デルファイは損保の新規契約拡大を主因に、また、TMHCCは前年度に買収したメディカルストップロス事業の貢献や更新契約の料率引き上げ等により、それぞれ増収した。欧州はTokio Marine Kilnでの更新契約の料率引き上げ、米国カバーホルダー経由のビジネス拡大を主因に増収し、同7%増の392億円となった。中南米はブラジルの自動車保険のビジネス拡大を主因として増収し、同2%増の374億円。アジア(中東含む)は前年度のインドの出資比率引き上げや各拠点のビジネス拡大等により同14%増収し、394億円となった。その他、再保険は円高進行の影響で減収し、同5%減の528億円、生保はインド、マレーシアでのビジネス拡大等により同7%増の223億円と増収を果たした。