2018.07.12 かんぽ生命 第12回定時株主総会、中計の成果と課題示す

かんぽ生命は6月18日、東京都港区の「ザ・プリンスパワー東京」で第12回定時株主総会を開催した。総会では報告事項の2件、決議事項の議案1件(取締役11人選任)が承認可決された。植平光彦社長は2015~17年の中期経営3カ年計画で、三つの主要な定量目標である新契約年換算保険料、当期純利益、1株当たり配当についての取り組みとその結果について述べ、これから向かう18~20年の中期経営計画の定量主要目標のうち保有契約年換算保険料で4.9兆円を実現し反転成長を目指すことを明らかにした。総会には書面、インターネットによる議決権行使も含め5万5347人が参加、1時間20分で終了した。

 17年度事業報告では、ニーズに対応した商品開発、販売チャネルの営業強化、高齢者顧客へのサービス充実、引き受けから支払いまでの態勢整備、運用収益力の向上、人材育成などの項目について説明があった。
 その後、植平社長は15~17年度の中期経営計画で、新契約月額保険料(個人保険)について16年度に500億円の大台に乗せることと、さらなる拡大を目標として取り組んだ結果、15年度に1年前倒しで突破、16年度も拡大したものの、17年度は保険料改定の影響が出て414億円にとどまったが、保障性の強い商品の販売占率を上げ、収益改善につなげたと述べた。
 当期純利益では17年度末800億円程度確保の目標に対して超低金利という厳しい環境の下で、3年間を通じて目標を達成し、17年度には1044億円を計上、民営化以後最高益を実現したと報告した。
 1株当たり配当は30~50%の配当性向を目安に安定的な増加を目指し、3年間を通して40%水準を達成し、64円の普通配当に加え1株当たり4円の特別配当(17年度期末)実施について報告した。
 18年度からの中期3カ年経営計画では、お客さま本位の業務運営の徹底、持続的な成長の実現、事業経営の健全性確保―を基本に販売・資産運用面での収益向上と保有契約年換算保険料の反転成長を目指すとした。
 その中で三つの主要定量目標として、保有年換算保険料を4.9兆円程度、1株当たり当期純利益155円、1株当たり配当額を76円に積み増すことを明らかにした。
 それを実現するための販売面の戦略として、保障重視の販売強化、募集品質の向上、新たな顧客層の開拓、新商品の開発および営業基盤の整備を挙げた。保障重視については長寿化、高齢化の進展により保障の備えとして生命保険商品の必要性が高まっている中、ニーズに適切に応えていくためにきめの細かい研修などにより適切な商品プランを提案できる営業社員の育成と販売スキルの向上に取り組むとした。
 募集品質の向上では募集資料の分かりやすさを追求し、営業社員の評価基準に契約維持の項目を導入するなど総合的な対策を推し進めると述べた。
 新たな顧客層の開拓では、未加入者、青壮年層の開拓と職域営業の強化を図るとし、新商品の開発では、第三分野などでの保障性商品の多様化を進め、営業基盤の整備では新営業用携帯端末の導入などでシステム面から支援する取り組みにより保有年換算保険料を4.9兆円程度まで伸ばし反転成長を目指すと語った。
 サービス面での戦略では、ICT活用によるサービスの向上や事務の効率化を目的に、画面告知、自動査定システム、保険手続きサポートシステムの導入、ウェブなどのデジタル技術を活用した請求手続きの導入に取り組む。また、事務の効率化のためサービスセンターにおける紙ベースの帳票の電子化、AIの利用推進、RPAの段階的導入による入力作業の省力化や事務プロセスの改善により、事務量を削減することで人材の有効活用により質の高いサービスの提供を進めると同時に、3年間で、1000人程度の事務量の削減を目指すことを明らかにした。
 資産運用の戦略では、ERMの枠組みの下、ALMを基本としながらリスク許容度の範囲で、資産運用の多様化を進め、運用の収益性向上を目指すとした。具体的には外債運用、オルタナティブ運用の多様化や株式時価運用を拡大し、収益追求資産のウエートの向上を図り、財務の健全性を維持しつつ資本効率の向上、リスク回避のリターンの向上を図ることにより、収益追求資産の総資産対比について20年度に15%程度までの拡大を見込むと説明した。