2018.06.15 生保協会 定例会見、健康増進支援に手応え、スチュワードシップ活動にも注力

生命保険協会の橋本雅博協会長は6月8日、日銀記者クラブで協会長として最後の定例会見を行った。在任中は①安心社会の実現に向けた生保事業の役割の発揮②健康長寿社会の実現に向けた健康で心豊かな社会づくりへの貢献③生保事業の基盤整備に向けた活動―の3本柱に注力。1年間の活動を振り返る中で、特に印象深い取り組みとして健康増進サポートプロジェクトを挙げ、「地域や企業の創意工夫を凝らした健康づくり事例に触れることができた」と活動に対する手応えを語るとともに、各方面に対して日頃の協力に対する謝意を表した。

 この1年で特に印象に残ったことを聞かれた橋本協会長は、健康長寿社会の実現に向けた取り組みを挙げ、「全国各地のウオーキングイベントに参加したことで国民の健康増進への意識の高まりを実感した」と述べた。
 さらにもう一点印象的だったこととして、株式価値向上に向けた取り組みを挙げ、他の機関投資家との情報交換や集団的エンゲージメントの取り組みをはじめとしたスチュワードシップ活動の研究に注力したと説明。エンゲージメントの定着や浸透にはまだ一定の時間がかかるとの見方を示したものの「投資側におけるフォローアップの必要性は感じている。今後、より効果的な取り組みについて引き続き議論する必要がある」と強調した。その上で、この1年間の取り組みについて「健康増進や企業の持続的成長を促すという視点から、活力ある社会づくりのために微力ながら貢献できたのではないか」と総括した。
 また、銀行窓販に関する苦情やトラブルへの対策についての質問には、苦情分析を実施した結果、外貨建て保険、年金、変額保険、変額年金などの苦情が多く、それらについての対応の重要性をあらためて認識したと説明。苦情に至るケースの未然防止の取り組みや、高齢者募集ルールの実効性ある運用を課題に挙げ、対策として、業界の自主ガイドラインの改正や全銀協を含めた緊密な意見交換の実施、継続教育テキストの見直しなどを検討していると明かした。
 この他、5月に行われたトヨタ自動車の決算説明会で機関投資家として出席した損保会社の社長が質問する場面があったことについて、投資先との対話の在り方について認識を求められると、個別事案へのコメントは控えるとした上で「スチュワードシップ・コードが導入されて4年が経過し、全体的に企業と投資家との対話が進んできたと実感している」とし、「企業と投資家の相互理解を深めるという意味では良い試みだと思う」と感想を述べた。
 同日付で行われた理事会では、次期副会長や各委員会委員長の内定、「SR報告書2018」と「健康サポートプロジェクト報告書」の刊行などが報告された。次期副会長(非常勤)には、清水博氏(日本生命社長)と木村博紀氏(朝日生命社長)が選出された。