2018.05.18 第一生命HD 18年3月期決算、国内3社合計 保険料等収入12%増

第一生命ホールディングスが5月15日に発表した2018年3月期決算によると、連結業績は増収増益となった。連結保険料等収入は前期比9%増の4兆8845億円。第一生命は戦略的に貯蓄性商品の販売を抑制したものの、第一生命チャネルによる国内グループ会社の商品販売実績を加味すると、保険料等収入は横ばいを維持した。第一フロンティア生命は相続ニーズ等を捉えて金融機関窓口販売が増加した他、第一生命による販売も寄与し、保険料等収入は同63%増加した。その結果、国内3社合計の保険料等収入は同12%増加した。海外グループ会社も堅調に推移した。グループ基礎利益は同9%増の5738億円、連結純利益は同57%増の3639億円で、運用環境の改善と、それを捉えた投資行動による第一生命の利息配当金等収入の増加が寄与した。連結純利益はジャナス・ヘンダーソンの統合に伴う株式交換益、米国プロテクティブの法人税減税に伴う利益といった一時的利益を計上したことも要因となった。国内3社の商品相互供給が本格化しており、新中期経営計画でさらなる拡大に取り組む。
 第一生命グループの連結主要業績は連結経常収益が前期比9%増の7兆378億円となった。第一生命では貯蓄性商品の販売を抑制した結果、保険料収入が減少したが、その他グループ会社の保険料収入は好調な営業業績を反映して増加した。
 連結経常利益は同11%増の4719億円だった。第一生命は順ざや、キャピタル損益ともに改善を見せ、前期比で大幅増益となった。第一フロンティア生命では前年の金利上昇に伴う市場価格調整の影響の反動減等を要因として小幅減益となったが、会社予想を大きく上回る水準で着地した。海外生保事業も、前年に発生した特殊要因による利益押し上げ効果の剥落等により減益となったが、ほぼ想定内の着地となった。
 親会社株主に帰属する当期純利益(連結純利益)は同57%増の3639億円となった。。第一生命の増益に加え、ジャナス・キャピタルとヘンダーソン・グループの合併に係る株式交換益が税引前・税引後ともに335億円となり、前年に計上したアセットマネジメントOneの再編に係る持分変動益124億円を上回ったこと、米国法人税減税に伴い、プロテクティブが一時的利益901億円を計上したことなどによる。
 新契約年換算保険料はグループ全体で同7.8%減(為替変動要因を除くと7.1%減)の4064億円と前期実績を下回った。第一生命は一時払終身保険の販売停止や平準払個人年金の販売減少によって、同43.3%減の1112億円と2桁の減少となった。このうち、第三分野は同21.5%増の732億円で、昨年4月の料率改定に併せて実施した商品性の改定や、営業職の評価基準の調整の効果が現れ、第三分野等、保障性主力商品の販売は好調だった。
 第一フロンティア生命は同11.1%増の1934億円で、外貨建年金に係る商品改定や新商品の導入効果に加え、第一生命の営業職による好調な販売を背景に2桁の伸びを示した。
 ネオファースト生命は同823.9%増の147億円となった。3月に法人向け商品を第一生命の代理店網に投入した結果、販売を大幅に伸ばした。
 海外生命保険事業については、プロテクティブが変額年金の販売は伸び悩んでいるものの、料率改定で定額年金の販売が拡大し、同3.7%増の366億円と堅調に推移した。TALは同47.5%増の322億円と個人保険事業では競合他社の保険料率引き下げ等を背景として一部商品の販売が減速しているものの、団体保険事業で複数の契約を獲得したため、新契約は高い伸びを見せている。第一生命ベトナムは同56.3%増の181億円。個人代理人の販売好調に加え、提携チャネルの貢献も高まり、好調が続いている。
 グループ全体の保有契約年換算保険料は前期末比1%増(為替変動要因を除くと1.8%増)の3兆6711億円となった。第一生命は前期末と同水準の2兆1458億円で、このうち第三分野は同6.9%増の6479億円だった。第一フロンティア生命は同2.4%増の7300億円。
 グループ各社の業績を見ると、第一生命は経常収益が前期比4%減の3兆7919億円で、このうち保険料等収入が同9%減の2兆3219億円、資産運用収益が同7%増の1兆1512億円だった。経常費用は同6%減の3兆4330億円で、このうち保険金等支払金は同3%減の2兆2652億円となった。経常利益は同27%増の3588億円、純利益は同45%増の1699億円。保険料等収入は第一フロンティア生命の商品販売実績2243億円、ネオファースト生命の同109億円を加味すると、前期比横ばいとなる。また、保障性の主力商品の販売が増加し、新契約年換算保険料に占める占率は約8割に達した。内外金融経済環境改善を受けた利息配当金収入の増加等や環境に応じた投資行動等により運用収支が改善し、増益に転じた。
 第一フロンティア生命は経常収益が同53%増の1兆8094億円で、このうち保険料等収入は同63%増の1兆6079億円、資産運用収益は同4%増の2014億円となった。経常費用は同56%増の1兆7486億円で、このうち保険金等支払金は同41%増の7848億円。経常利益は同5%減の608億円、純利益は同26%減の370億円となった。商品改定・新商品投入に加え、グループ内外で販売チャネルを拡充し、保険料収入の増収ペースが加速した。販売増による保有契約の積み上がりとともに、事業利益は改善している。市場価格調整に係る損益は16年末の金利上昇を受け、前年の収益を大きく押し上げていたが、今期は金利上昇が比較的小幅にとどまったため、前期比で収益を押し下げている。外貨建て商品の販売増加に伴う危険準備金の繰入増加と、前年度の期中から税務上の繰越欠損金を解消し、法人税支払いが増加したこと等から減益となったが、業績予想を上回る高い進捗(しんちょく)となった。
 第一生命のソルベンシー・マージン比率は、881.8%となった。株価上昇等を背景に含み益が増加し、前期末の850.5%から上昇。十分な財務基盤と健全性を確保している。第一生命ホールディングスの連結ソルベンシー・マージン比率は、838.3%。
 19年3月期の予想連結業績は経常収益6兆4290億円、経常利益4140億円、純利益2200億円と減収・減益の見通し。主な要因は金融経済環境に応じて変動する経常収益項目や18年3月期に計上された一時的要素の剥落によるもの。グループ修正利益は当期の2432億円から投信の運用に係る配当金や解約益などの変動要素を除いた2100億円に対し、同ベースで2300億円程度と実質増益を見込み、1株当たり配当金も増配を予想している。