2017.11.20 第一生命HD 17年度第2四半期決算、連結業績は増収増益

第一生命ホールディングスが11月14日に発表した2017年度第2四半期決算によると、連結経常収益は増収となった。第一フロンティア生命の外貨建て貯蓄性商品の販売が好調だったことや、第一生命で円貨建て貯蓄性一時払商品の販売を戦略的に抑制し減収となったものの、16年度から進めてきた保障性商品へのシフトが進んだこと、海外生保事業が堅調に推移したことによる。連結純利益は増益となった。第一生命の利息配当金等収入の増加、第一フロンティア生命の利益改善、ジャナス・ヘンダーソン合併に伴う株式交換益の計上などもあり、業績予想の通り順調に進捗(しんちょく)した。グループ基礎利益も増益を確保した。

 第一生命グループの連結主要業績は、連結経常収益が前年同期比5%増の3兆3648億円と堅調に推移した。第一生命では貯蓄性商品の販売を抑制した結果、保険料収入が減少したが、その他グループ会社の保険料収入は好調な営業業績を反映して増加した。経常収益の増加の要因として各社における特別勘定資産運用益の増加があるが、責任準備金の繰入で相殺されるため経常利益には影響を与えないという。
 連結経常利益は同4%減の2121億円となった。第一生命は前年第1四半期に計上されたヘッジに関わる資産運用益が剥落したことで減益だったものの、良好な金融経済環境等を背景に順調に進捗した。海外生保事業では、前年同期に発生した特殊要因による利益押し上げ効果の剥落等により、プロテクティブおよびTALも減益だった。一方、金融環境の改善等によって第一フロンティア生命は黒字回復した。
 連結純利益は同21%増の1283億円と大幅な伸びを示した。第一生命や第一フロンティア生命の順調な進捗に加え、ジャナス・ヘンダーソン合併に係る株式交換益を計上したことが、増益となった主な要因。通期予想に対する進捗は連結純利益で72%と高い進捗になった。上半期のグループ修正利益は1021億円だった。
 新契約年換算保険料は同0.3%増の1960億円と微増した。第一生命の新契約年換算保険料は円貨建て貯蓄性一時払商品の販売抑制などによって、同29.9%減の545億円となったものの、第三分野については同55.3%増の363億円となった。保障性商品へのシフトによる主力商品の販売増加、法人向け介護保障商品の販売が第三分野の伸びをけん引した。第一フロンティア生命は同1.1%増の901億円だった。新商品の投入などで外貨建て定額商品が大きく伸びた。
 海外生保事業では、プロテクティブが同18.1%増の185億円、TALが同199.8%増の245億円、第一生命ベトナムが同68.9%増の67億円だった。プロテクティブは、ユニバーサル保険の販売好調が続いている。また、変額年金の販売は伸び悩んでいるものの、料率改定によって定額年金の販売が急拡大した。
 TALは、個人保険事業で一部商品の販売が減速しているが、第1四半期に団体保険事業で複数の契約を獲得したため、上半期累計の新契約は高い伸びを見せている。第一生命ベトナムも個人代理人の販売好調に加え、提携チャネルの貢献も高まり、前年同期比約7割増と好調が続く。
 保有契約年換算保険料はグループ全体で前期末比0.9%増の3兆6651億円とプラス成長を維持した。第一生命は同0.1%減の2兆1459億円で、このうち第三分野は同3.5%増の6273億円だった。第一フロンティア生命は同3.1%増の7349億円となった。プロテクティブは同3.6%減の4923億円、TALは同10.3%増の2527億円、第一生命ベトナムは同14.6%増の324億円となった。
 グループ基礎利益は、第一生命での利息配当金の増加による順ざやの改善などで前期比910億円増益の3032億円となった。
 グループ各社の業績を見ると、第一生命は経常収益が前年同期比10%減の1兆8158億円で、このうち保険料等収入が同16%減の1兆1059億円、資産運用収益が同10%増の5771億円だった。経常費用は同10%減の1兆6577億円で、このうち保険金等支払金は同6%減の1兆782億円となった。経常利益は同13%減の1581億円、純利益は同14%減の725億円。減収は円貨建て貯蓄性一時払商品の販売を抑制したことが主な要因。一方、商品ポートフォリオの保障性商品へのシフトは、第三分野を含む保障性商品の新契約年換算保険料の占率が前年同期の39%から17年度第2四半期は80%となり、保障性商品の新契約年換算保険料は同43%増の436億円と大幅な伸びを示した。
 第一フロンティア生命は経常収益が同37%増の8729億円で、このうち保険料等収入は同18%増の6373億円、資産運用収益は同282%増の2355億円だった。経常費用は同33%増の8464億円で、このうち保険金等支払金は同8%増の3341億円となった。経常利益は264億円、純利益は152億円。保有契約の積み上がりによる利益の増加に加え、最低保証リスクに係る責任準備金が株高等の影響で運用収益が改善したことを受けて前年同期の繰入れに対して戻入れとなったため、大きく黒字回復した。
 業界随一の商品ラインアップを展開し、多様な顧客ニーズに機動的に対応。外貨建て年金に係る商品改定や新商品の導入効果で着実に販売を伸ばしている。円貨建ては他社に先駆けて販売を再開し、顧客に外貨建て、円貨建てを選択してもらうことで納得感の高い販売ができているという。
 第一生命のソルベンシー・マージン比率は871.5%となった。株価上昇等を背景に含み益が増加し、前期末の850.5%から上昇、十分な財務基盤と健全性を確保している。第一生命ホールディングスの連結ソルベンシー・マージン比率は795.1%だった。
 18年3月期連結業績予想は、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益について、第一生命で良好な金融経済環境に伴う資産運用収益の増加等により経常利益、当期純利益の増加を見込むこと等から、前回発表予想と比較して増加する見込みで、経常利益を前回発表予想の3630億円から4260億円に、純利益は1790億円から2260億円に上方修正した。なお、経常収益については、現時点では通期の業績予想を据え置く。総還元性向の目標40%や、1株当たり45円の配当予想も据え置き。