2017.11.06 日立キャピタル損保 就業継続支援で新商品、がん治療との両立に備え

日立キャピタル損保は、がん治療と就業の両立を支援する保険として「がんのみ補償特約付就業継続支援保険」を開発し、今月から本格的に販売開始した。がん患者へのアンケート調査(注)によれば、両立する上で困難だったこととして、「治療費」に次ぎ、約3割の人が「働き方を変えたり休職することで収入が減少する」と回答。GLTD(団体長期障害所得補償保険)を専門的に供給してきた同社では、こうした課題を解決するため、治療中の経済面をサポートする新商品の開発に至ったとしている。

 医療の進歩によって、がんは現在、「治る可能性のある病気」と捉えられているとともに、治療方法についても、入院治療者より通院治療者の方が多いなど、がん治療をめぐる状況は大きく変化している。一方、治療により仕事に支障が出ることで収入が減少するリスクは、依然として課題になっている。
 「がんのみ補償特約付就業継続支援保険」は、入院日数や通院日数を保険金の支払基準とする一般的ながん保険とは異なり、がんの治療に伴って、医師の診断に基づく「仕事に支障がある期間(日数)」に対して、療養保険金(約款に定める「所得補償保険金」)を支払う。
 病気やけがで働けなくなったときの収入減に備える保険としては「就業不能保険」があるが、一般的な就業不能保険とは異なり、がんに特化。また、「療養保険金」の支払対象とする「仕事に支障がある期間(日数)」には、一般的な就業不能保険で対象とされる「入院や自宅療養などで仕事ができない期間」だけでなく、「復職後の時短勤務や残業制限などがある期間」も対象にしているという特長がある。
 「療養保険金」は最大1000日間分補償し、就業に制限がある期間が「1000日を超えて」継続した場合には、「長期療養一時金」(約款に定める「就業障害継続一時金」)を支払う。
 これらの保険金に加え、がんと診断された場合の一時金や先進医療を受療するための補償も備え、がん治療の開始から完全復職するまでを経済的にサポートする。
 日立キャピタル損保では、がん治療と就業の両立をはじめとしたがん対策に取り組む企業・団体に対して、①企業・団体が保険加入・保険料負担をし、従業員等への見舞金として「がんのみ補償特約付就業継続支援保険」を活用する②従業員等の自助努力(従業員等が保険加入・保険料負担)のための仕組みとして「がんのみ補償特約付就業継続支援保険」を活用する―という二つの活用方法を提案するとしており、当面個人向け販売は行わない。
 「がん対策基本法」は、2016年12月に改正され、「がん患者の雇用の継続への配慮」等が「事業主の責務」として明文化された。日立キャピタル損保では、今後、「健康経営」の意識の高まりとともに、がん検診の受診啓発や、治療等のための時短勤務制度導入など就業規則の整備に加え、従業員への経済的な支援の仕組みを導入する企業が増えていくとみている。
 (注)東京都福祉保健局「がん患者の就労等に関する実態調査」(14年5月)