2017.08.16 かんぽ生命 17年度第1四半期決算、四半期純利益 順調な進捗

 かんぽ生命は8月10日、2017年度第1四半期決算を発表した。四半期純利益は前年同期比24.3%増の241億円で通期予想に対して進捗(しんちょく)率は28.1%となった。個人保険の新契約年換算保険料は、17年4月の保険料改定の影響等で同27.4%減の1045億円と前年同期実績を下回ったが、保障性商品を重視した営業の取り組みで、第三分野の新契約年換算保険料は同9.7%増の132億円と第1四半期としては過去最高を記録した。個人保険の保有契約年換算保険料は前年度末比0.7%減の4兆9463億円とやや減少。第三分野の保有契約年換算保険料は7347億円と前年度末並み水準を維持した。エンベディッド・バリュー(EV)は前期末から167億円増加し3兆3724億円、新契約価値は475億円(前年同期比470億円増)だった。

 個人保険の新契約件数は前年同期比31.4%減の46万件となった。このうち、養老保険は23万件(占率:49.9%、前年同期実績36万件)で、普通養老保険は14万件(占率:30.9%、前年同期実績30万件)、特別養老保険8万件(占率:18.9%、前年同期実績6万件)だった。終身保険は19万件(占率:42.7%、前年同期実績18万件)で、普通終身(定額型)は8万件(占率:18%、前年同期実績6万件)、普通終身(倍型)は7万件(占率:16.7%、前年同期実績5万件)、特別終身は3万件(占率:8%、前年同期実績6万件)となった。学資保険は3万件(占率:7.4%、前年同期実績12万件)だった。
商品別の占率は、保険料改定の影響により、貯蓄性の強い普通養老保険、特別終身保険、学資保険が減少した一方、保障ニーズを捉えた営業推進により、特別養老保険、普通終身保険(定額型)、普通終身保険(倍型)が増加した。
 個人保険の保有契約件数は前年度末比1%減の3123万件と微減した。保有契約の内訳は、養老保険が1320万件(占率:42.3%、前年度末実績1349万件)、終身保険が1285万件(占率:41.2%、前年度末実績1279万件)、学資保険が503万件(占率:16.1%、前年度末実績512万件)、その他が14万件(占率:0.5%、前年度末実績14万件)だった。
 連結の経常収益は前年同期比1478億円減の2兆1135億円で進捗率は27.5%。保険料等収入は1兆1236億円で同2915億円減少した。資産運用収益は3213億円で同227億円の減少となった。責任準備金戻入額は6404億円で同1509億円増加した。
 経常費用は同1867億円減少して2兆303億円となった。保険金等支払金は1兆8507億円で同1379億円減少した。資産運用費用は163億円で同520億円減となった。事業費は1308億円と同37億円減少した。単体ベースの事業費1307億円の約7割を占める日本郵便へ支払う委託手数料は、新契約の減少により、前年同期比28億円減の945億円となった。契約獲得実績に応じて支払う新契約手数料は同35億円減の438億円、保全・支払業務等に応じて支払う維持・集金手数料は同7億円増の507億円だった。
 経常利益は同388億円増の832億円で通期業績予想に対する進捗率は33.3%、親会社株主に帰属する四半期純利益は同47億円増の241億円で進捗率は28.1%と増益を確保し、通期業績予想に対して順調に進捗している。
 総資産は前年度末比1.8%減の78兆9259億円、純資産は同4.4%増の1兆9351億円だった。
 資産運用については、昨今の低金利環境を受け、運用資産の多様化を進めてきた結果、株式・外国債券などのリスク性資産の残高は8兆5866億円、総資産比で10.9%まで拡大した。中計において計画していた「10%程度」を超えたが、今後もマーケット環境を注視しつつ、リスク性資産への投資を継続する方針で、18年3月末の総資産比は12%程度と見込んでいる。負債の平均予定利率の低下が続く一方で、資産の利子利回りは前年同期とほぼ同水準を維持し、147億円の順ざやを確保した。また、キャピタル損益は12億円と英国のEU離脱決定に伴うマーケット変動の影響を受けた前年同期から改善した。
 有価証券の時価および含み損益は、総資産の減少と国内金利の上昇を受け、満期保有目的や責任準備金対応で保有する債券の含み益は前年度末比やや減少し、7兆1171億円。その他有価証券の含み益は、米国金利の低下と株式相場の上昇により、外国証券・金銭信託の含み益が増加したことから、前年度末比やや増加し、5737億円となった。この結果、有価証券全体の含み益は、7兆6909億円で前年度末とほぼ同水準だった。
 連結ソルベンシー・マージン比率は、リスク性資産への投資拡大等により1249.6%と前年度末比41ポイント低下したものの、引き続き高い健全性を維持している。