2017.08.07 金融庁「顧客本位の業務運営」 取組方針策定の事業者を公表

 金融庁は「顧客本位の業務運営に関する原則」を採用し取組方針を策定した金融事業者のリストを7月28日、同庁のホームページで公表した。その中で、生保、損保、保険持株会社、少額短期保険業者、乗合代理店、損害保険代理店の合計で74事業者の名称が明らかにされ、全体の16%を占めた。また、同時に取組方針の成果指標(KPI)について投資信託事業者の五つの取り組みを好事例(注)として提示した。次回は9月末までの状況を10月中に公表する。(74事業者の名称一覧は、2面に掲載)

 金融庁は3月30日に公表した「顧客本位の業務運営に関する原則」で、同原則を採用した金融事業者に対して、顧客本位の業務運営を実現するための明確な方針を策定し公表することを求めていた。また、同原則の定着に向けた取り組みで、金融事業者の取り組みの「見える化」を促進する観点から、「取り組み方針」を策定した事業者のリストを公表するとしていた。
 今回は、6月30日時点で策定・公表した466の事業者がリストに挙がった。業態別では保険会社等が74、都市銀行等が49、地方銀行、第二地方銀行およびこれらの持株会社が101、協同組織金融機関等が6、金融商品取引業者等が236となっている。
 保険会社等は、生保が39、損保が10、保険持株会社が4、少額短期保険会社が7、乗合代理店が13、損害保険代理店が1となっている。
 これらの状況について金融庁は、多くの金融事業者が「顧客本位の業務運営に関する原則」を採択し、取組方針を策定・公表し、また、顧客本位の業務運営の定着度合いを客観的に評価できるようにするため成果指標(KPI)についても一定数の金融事業者が公表したが、これらの策定・公表を働き掛けてきた経緯から、こうした動きを歓迎するとしている。
 KPIの内容についてはさまざまだが、中には投資信託の販売方針等を踏まえて、その金融事業者が目指す販売等の方向が相当程度端的に示されると考えられるKPIも見られ、これらは好事例と言えるものではないかとして提示した。
 これらを踏まえ、まだ取組方針やKPIを公表していない金融事業者については公表を、すでに公表している金融事業者については必要に応じて、さらなる改善に努めてほしいと述べている。
 金融庁は引き続き、金融事業者における業務運営の実態についてモニタリング等の実施を通じて金融事業者による主体的な取り組みを促していくとしている。
 (注)①投資信託の販売額上位10銘柄を銀行と自社の取り扱いについて2012年度と16年度をリストアップして比較②投資信託販売に占める毎月分配型の販売額とそれ以外との比較③投資信託残高に対する分配金の割合④投資信託販売額に占める自社グループ商品の比率⑤インベスターリターン(日々のファンドへの資金流出入額と期首及び期末のファンドの純資産額から求めた内部収益率を年率換算したもの)と基準額の騰落率との差。