2017.07.12 SOMPOHD・SOMPOシステムズ ビッグデータのリアルタイム解析へ、業界初 専用AI工場構築

 SOMPOホールディングスとSOMPOシステムズは、NTT東日本と共同で、グループ各社で収集したデータをリアルタイムに解析し、瞬時に経営に生かすためのAI工場「エッジAIセンター」を保険業界で初めて構築した。ディープラーニングによる学習済みAI資産の蓄積と活用・運用を効率的に行うための拠点で、SOMPOHDグループでは、AIを使ったコールセンター業務の効率化、自動車走行データや健康関連データ等にAIを活用した新サービスの創出や新たなビジネスモデルづくりを目指す。

 最近、さまざまなIoT技術によるセンサーデータや音声・動画データ等のビッグデータの蓄積により、ディープラーニングをはじめとする機械学習を中核としたAI技術でデータを解析し、実ビジネスに活用する動きが、あらゆる産業・分野に広がっている。一方、収集されるデータの飛躍的な増加と、そのデータ解析に必要とされるコンピューティングリソースの増加に対応するには、ネットワーク負荷や遅延を最小化するための最適なシステムやネットワーク・アーキテクチャが求められるといった背景がある。
 今回、SOMPOHDでは、グループにおけるデータ・プラットフォーム構築の一環として、データ集約にアマゾンウェブサービス(AWS)を活用するとともに、そこで収集したデータをリアルタイム解析するAIセンターを、ネットワーク負荷や遅延を抑えたNTT東日本が提供するデータセンター内に築いた。AIセンターは、SOMPOHDグループ各社の事業領域に特化したデータセットを使った学習モデルを構築、蓄積して、グループ全体で活用するための「学習工場」(注1)の役割を果たす。
 AIセンターのインフラストラクチャーは、NVIDIA社のGPUを搭載し、ディープラーニング処理向けに最適化されたIBM社製のAI専用サーバーで構築する。
 AIセンター上で提供するAIシステムの第1弾として、今夏から、独自のディープラーニング技術を実装したAIシステムを運用開始し、業務の自動化やサービス品質の向上を図る。
 SOMPOHDは、グループ全体のデジタル戦略に基づき、世界最先端のデータ・プラットフォームの構築とグループ横断のAIエンジニア、データサイエンティスト等の人材開発を担当。SOMPOシステムズは、グループを支える戦略的IT企業として、ディープラーニングなど最先端の技術を活用し、グループ各社の事業のための具体的なITシステムづくりを担当する。
 また、NTT東日本は、首都圏だけでなく、地方に広がる安全性、信頼性の高いデータセンターや通信ビルをAIセンターとして提供。さらに、「クラウドゲートウェイクロスコネクト」(注2)を利用し、AWS等のクラウドと各拠点を安全かつ高スループットで接続するネットワークの構築を担当する。
 NTT東日本では、今回のネットワーク構築を通じ、IoT・AI時代に最適なエッジコンピューティングとクラウドコンピューティングの有機的連携を実現する情報流通基盤の提供を目指す、としている。

 (注1)データを準備する環境、機械学習を使える高度な人材、高性能な計算機が備えられた、学習モデルを構築する環境で、人工知能学会で東京大学大学院特任准教授の松尾豊氏が提唱。
 (注2)NTT東日本が提供する、信頼性の高い閉域ネットワーク経由でAWS等のクラウドサービスを利用可能とするネットワークサービス。