2017.06.21 損保料率機構 地震保険基準料率の変更を届出、基本料率 平均3.8%上げ

 損保料率機構は、損害保険料率算出団体に関する法律第9条の3第1項後段の規定に基づき、地震保険基準料率の変更に関する届出を、6月15日付で金融庁長官に提出した。基本料率を全国平均で3.8%引き上げる。改定率は都道府県・建物の構造区分により異なるが、最大引上げ率が14.9%、最大引下げ率はマイナス15.8%。また、長期係数の見直しも併せて行い、予定利率を1.5%から0.5%に変更した。

 地震保険基準料率については、前回改定の届出(2015年9月30日付)で、基本料率の改定を3段階に分けて行うこととしており、今回は、このうち2回目の改定の届出となる。基本料率の算出に当たっては、各種基礎データを更新した上で、再計算を行った。
 前回改定の届出の際、基礎データの一つである震源モデルが東北地方太平洋沖地震を踏まえて見直されたことなどを理由に、基本料率の大幅な引き上げが必要な状況となったことから、財務省「地震保険制度に関するプロジェクトチーム」フォローアップ会合の議論の取りまとめの意見・指摘を踏まえて、3段階に分けて引き上げを行うこととなった経緯がある。
 このため、前回の届出では、全国平均で19.0%の引き上げが必要だったところ、3段階改定の1回目として5.1%の引き上げを実施。2回目以降の料率の引き上げについては、今後の各種基礎データの更新などの影響を踏まえることとしていた。
 今回、各種基礎データである震源モデルや住宅・土地統計調査、地震保険契約データなどを更新して再計算した結果、耐震性の高い住宅が普及したことなどから、前回届出時に見込んでいた残り2回で必要な全国平均での引上げ率が13.2%から8.7%まで縮小した。
 今回を含めた残り2回の改定で必要な水準にまで引き上げを行うことから、今回の届出による全国平均の引上げ率は、イ構造が5.5%、ロ構造が2.2%で、合計3.8%となる。なお、次回3回目の料率の引き上げについては、あらためて今後の各種基礎データの更新などの影響を踏まえて行うことにしている。
 現在、地震保険では地震の危険度に応じて都道府県を三つの等地(危険度の低い順に1等地から3等地)に区分している。今回の届出に当たり、新たに危険度計算を行い、各都道府県の等地の再区分を行ったが、現行(15年9月30日届出、17年1月1日実施)から等地の変更はなかった。
 都道府県別料率は、等地区分単位に算出することを基本としており、その上で、各等地区分に区分されているいずれの都道府県でも3段階通算の改定率が段階改定前(16年12月以前)との比較でプラス50%を上回ることのないよう、①都道府県ごとに3段階通算の改定率(プラス50%を上限)を計算②残り2回(2回目、3回目)の改定率が同率となるように2回目の都道府県別料率を算出―という手順で算出した。
 その結果、今回の届出による都道府県別料率の最大引上げ率、最大引下げ率は、イ構造が最大引上げ率14.9%、最大引下げ率マイナス15.8%、ロ構造が最大引上げ率14.7%、最大引下げ率マイナス14.5%となった。
 一方、長期係数については、保険期間を2~5年とする契約の保険料を一括で支払う場合の保険料の計算に使用する係数で、1年目と2年目以降の事務コストの差や運用の利率等を考慮して算出している。今回の届出では、予定利率を近年の金利状況を踏まえ現行の1.5%から0.5%に変更した結果、5年契約の場合、増減率3.4%増の引き上げとなった。